ムカデの生態辞典【完全版!】種類・つがい行動・幼虫・卵・天敵・餌・足の数について、わかりやすくまとめた!
こんにちは。
山奥の実家で20年、多くの虫と暮らしてきたアキラです。
ムカデは一般的には嫌われている虫です。
しかし一方では、色合いや大きさに魅せられて「ムカデ愛好家」となっている方も大勢います。
当ページでは、そんなムカデの生態について
どれくらい種類がいるのか?
ヤスデとはどう違うのか?
幼虫にも毒があるのか?
天敵はどんな生物か?
などなどをどこよりも分かりやすく説明しています。
- ムカデとは?実は昆虫ではない?!
- ムカデの種類はどれくらい?
- ムカデの足の数は何本?
- ヤスデとの違いは?
- ムカデがつがい行動するのは本当のことか?
- ムカデの幼虫ってどんなの?毒はある?
- ムカデの卵はどんなの?どこに生みつける?
- ムカデの天敵は??
- ムカデの餌となる生物は?
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ムカデとは?実は昆虫ではない!
ムカデにはたくさんの仲間がおり、ムカデという名前がありながら「ムカデではない種類」もありますが、「形の似たものを、まとめてムカデと読んでいる」のが一般的です。
実はムカデは「虫」ではありますが、「昆虫類」ではありません。
※ジャンル分けが細かくなるので、当サイトでは昆虫として扱っております
ムカデは分類上は「節足動物門」という大きなグループに属します。
「節足動物門」という大きなグループの世界では、さらにたくさんの細かい分類分けがされ、
「昆虫類」
「甲殻類」
「クモ類」
・
・
・
etc...
があり、その中の一つに「ムカデ類」があるのです。
「虫」と呼ばれる範囲にこの「節足動物門」のほとんどが含まれていますが、クモもムカデも昆虫ではなく、分類上は別とみなされて振り分けられています。
なので、「虫」ですが「昆虫」ではないのです!
ムカデの種類はどれくらいいるの?
日本には120種類ほどのムカデが生息しています。
人目につきやすい所に生息しているのは
- トビズムカデ
- イッスンムカデ
であり、日本において「庭にムカデがいる」と言った場合は、大概がこれらのどちらかのムカデです。
ムカデの中でも「オオムカデ目」と言うジャンルに分類されている個体。
日本のムカデの中では最大レベルの大きさです。
まれに20cmほどの個体も存在しますが、通常は10〜15cmほど。
北海道から沖縄まで日本列島の各地でみられ、また暖地では1年中見かけることもあります。
個体としては、以下のような「頭が赤、足が黄色」のものが多いですが、
中には以下のような「頭と足の両方が赤」のタイプもいます。
【ゴキブリを捕食するシーン!】
ムカデの中でも「イシムカデ目」と言うジャンルに分類されている個体。
体長は3cmほどで、個体の色は茶〜赤褐色をしています。
こちらも日本各地でみられ、特に3月〜11月に多く出現します。
海外での人気ムカデTOP3!
海外にもたくさんのムカデがいますが、その中の人気ムカデを3つ紹介しましょう!
中でも人気の種類が「ベトナムオオムカデ」です。
日本では、上で紹介した「トビズムカデ」がもっとも大型と言われています。
しかしこの種類はなんと最大30pにまで成長すると言われています。
これは日本で大きいとされている「トビズムカデ」を優に超えてしまいます。
なお、ベトナムオオムカデは「足の色」によって呼ばれ方が変わります。
たとえば「レッドレッグ」「イエローレッグ」といったように、カラーをそのまま呼び名としているのです。
↑ レッドレッグ
↑ イエローレッグ
【ゆっくりとコオロギを食べるシーン】
【ニシキヘビにも勝つムカデ】
※ベトナムで撮影された動画ですが、ベトナムオオムカデかは不明
色の美しさで人気が高いムカデの中には「インドオオムカデ」という種類もいます。
オオムカデと名乗っておきながら、体長は15p程度にしか成長しません。
大きさではなく「赤と黒の縞柄」というカラーリングが人気なのです。
小さい個体は飼育しやすいように思われますが、毒性がとても強い種類であるため、飼育舎は注意しなくてはなりません。
世界最大と言われる「ガラパゴスジャイアントオオムカデ」は、なんと60pにもなる種類です。
インターネット上には「60センチの個体の画像」は見つけることが出来ませんでしたが、一応世界最大級とされています。
毒性も強く、動きも俊敏であるため、日本にはいませんが生活の中で最も出くわしたくないムカデです。
それほどまでにムカデを進化させた「ガラパゴス」という環境は、いったいどれほどの過酷なものなのでしょうか。
ムカデの大きさが生き抜くことの厳しさを物語っています。
余談ですが、海外において「コウモリを捕食するシーン」が撮られています。
あまりキレイな映像ではありませんが、捕食シーンは01:25〜あたりから。
ニュージーランドでは、青い足のムカデも発見されています。
エメラルドブルーのキレイな足にはついつい見惚れてしまいますが、「毒々しい色」とも言えるかも知れません…
では続いて
「ムカデの足の数は本当に100本なのか?」について説明します!
ムカデの足の数は本当に100本なの!?
ムカデを漢字で書くと「百足」となりますが、実際に「百本の足」があるわけではありません。
足の数は意外にも幅が広く、
- オオムカデ目
⇒21対もしくは23対(42本もしくは46本)
- イシムカデ目
⇒15対(30本)
とされます。
足の「対数」はほとんどが奇数であり、「偶数対」の足を持つムカデはとても珍しい個体です。
(奇形とされている)
ついでにムカデの「体の構造」を簡単に説明しておきましょう!
体は「体節」という連続した『節』で作られています。
上で紹介した「ガラパゴスジャイアント」の写真が分かりやすいですね!
頭部にある長い触覚が印象的で、イラストなどにも描かれていることが多いです。
顔の部分には「顎肢」と呼ばれる「アゴの形のような器官」がついています。
この「顎肢」に毒腺があり、これらの毒を使ってムカデは狩りを行い、昆虫や小動物を捕えるのです。
そして最後の節(尻尾側)に生殖器があります。
ムカデに噛まれると毒で死ぬ?
余談ですが、ムカデの毒が直接的な原因となり、人が亡くなったという例はありません。
しかし咬まれるとかなりの痛みがあり、毒を絞って治療を行わなければならないのは事実です。
ムカデに限らずどんな毒でもそうであるように、咬まれた人間の体質によってはアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。
このショックで「重症となる可能性」が0%とは言い切れませんので、咬まれた時は病院に駆け込んで、できるだけ早く治療を受けましょう。
では続いて
「ムカデとヤスデの違い!」について説明しましょう!
ムカデとヤスデの違いはなに?!
ムカデとよく似た「足をたくさん持つ虫」のひとつに、「ヤスデ」がいます。
ヤスデはムカデに比べて体が小さく、わずか2pから4p程度※しかありません。
※海外に生息するものは最大30センチに達するものもあります
もしこのヤスデを見かけても「小さなムカデがいる!」と思ってしまうかもしれません。
しかし「ムカデほど大きくない」という点以外にも、
- 体の色
- 動き
の2つが見分けるポイントとして挙げられます!
ヤスデは真っ黒いものが多く、黒〜茶褐色の色をしています。
それに対して「ムカデ」は体色が赤っぽく、赤褐色〜茶褐色をしています。
また頭部、足、胴尾で色が分かれています。
ヤスデはムカデに比べて動きがとても遅く、見つけてから見逃すことはほとんどありません。
ムカデは目を離した隙にどこかへ逃げ切ってしまうこともありますが、ヤスデの駆除は難しくはないでしょう。
なお、ヤスデは人間を襲いません。
咬まれる心配はありませんので、ムカデのようなパニックにならなくても、落ち着いて駆除すれば良いでしょう。
ムカデの駆除&噛まれた時の対処
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ヤスデに関するページ!
- ヤスデは最大30cm!種類は200以上!天敵・幼虫・卵など生態まとめ【画像あり】
- ヤスデをササッと駆除・対策する8の方法と、「大量発生」する原因!
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では続いて
「ムカデはつがい行動するのか?」について説明します!
ムカデは「つがい行動」するのか?
「つがい行動」とは、2匹で1組となって行動している状態のことを言います。
ムカデは「1匹殺すとつがいのもう1匹が現れる」などと言われることがあり、「つがい行動する虫」と認識されているようですが、これはまったくの誤解です。
ムカデは昆虫類ではないため、群れを成して生活する習性はまったくありません。
ではなぜこのような噂が広まったのでしょうか?
ムカデが住んでいる環境は、当然のことながら「ムカデが好んで集まってくるような環境」です。
そして、複数のムカデを目撃した時に「つがいと勘違いした」のが始まりだと言われています。
たとえばゴキブリが大量にいる環境では、ムカデが捕食のために集まる場合があります。
このような場合は数体のムカデを同時に見る可能性は大いにあります。
そしてムカデとゴキブリは、しばしば混同されることがあります。
「ゴキブリが1匹いたら100匹いると思え」というような言い伝えが、いつの間にかムカデのものとなってしまったのかもしれません。
そんなムカデにも「つがいになる瞬間」があります。
それは繁殖期です。
交尾の時だけは、もちろんオスとメスが一緒にいなければなりません。
しかしこの時もほんの一瞬だけ。オスはメスに捕食されてしまうことを恐れ、交尾という大役を果たしたらすぐに離れてしまうのです。
その他、唯一集団となっているタイミングとしては母ムカデが子どもを育てている2か月間だけです。
それでも親と子では「体格差」があるため、つがいには見えないばかりか、人家の中には入り込みませんので、これも誤解の原因ではないようです。
では続いて
「ムカデの幼虫ってどんなの?」というテーマを説明しましょう!
ムカデの幼虫ってどんなの?毒はある?
上で説明のとおり、大人のムカデは種類によって2p〜20p程度の大きさと、バラつきがあります。
では「ムカデの幼虫」はどのくらいか?
これは種類や成長度合いにもよりますが、大きくても3cmほどでしょう。
色は白っぽく、同じ場所にウジャウジャと何匹も居ます。
幼虫であっても噛み付きますので、素手では触らないように気をつけてください。
卵の大きさや、産み付ける場所はどこ??
ムカデは「梅雨の時期」である5月〜6月に産卵期を迎え20〜50個ほどの卵を産みます。
個体差にもよりますが、20〜50個という数は、昆虫類と比べると少ないです。
しかしこれは、
- 肉食であり捕食される生存リスクが少ないこと
- 母ムカデに卵を守る習性があること
などから、成虫になる確率が高いことが関係しているとされています。
卵はどんなの?どこに産み付けるの?
卵は黄色で、2mm〜6mm程度のほんの小さなものです。
母ムカデはどこかに卵を産み付けるのではなく、自分の腹部に卵を抱え込んでしまうのです。
長い胴を生かし、くるりと丸まって卵を抱え込み、表面を舐め続けるのです。
これは「卵を乾燥から守るため」の行動です。
このようにして卵の世話をするため、孵化するまでの約1か月間、母ムカデは卵から離れてエサを食べることはありません。
無事に孵化しても、最初の2か月間はずっと幼虫を腹部に抱えています。
この2か月の間に幼虫たちは2回脱皮をして、やっと2p程度の大きさとなるのです。
この2か月を過ぎれば母の役割が終わり、子どものムカデは去っていきます。
幼虫はこのようにがっちりと守られて育ちはしますが、それでも共喰いや捕食者に捕まるなどして数を減らします。
さらに「脱皮」も成虫になるまでの間に10回も行いますが、この間、脱皮に失敗して「脱皮不全」となれば命がありませんので、その10回の試練と危険を乗り越えた個体だけが、我々の目に前に現れるのです。
では続いて
「ムカデの天敵となる生物!」について説明しましょう!
ムカデの「天敵」を知ろう!
ムカデの天敵となるのは、大きく
- 鳥類
- 爬虫類(カエル・蛇)
- 哺乳類
の3種です。
ムカデは大変強い毒を持つ生き物です。
しかしそんな彼らにも天敵が存在します。
それはムカデを襲って食べてしまう鳥類です。
鳥類は空からムカデを探せますが、ムカデはあまり自由の利かない体です。
普段は葉の陰や地中に潜ってはいますが、何かの折に空から見つかってしまうと、自分では気付かないうちに捕食されてしまうのです。
自慢の毒もむなしく、丸飲みされてしまいます。
中でも最もムカデの天敵となり得るのは、イソヒヨドリです。
イソヒヨドリのメスは地味な濃い灰色をしていますが、オスは背中がブルー、腹部がオレンジという大変美しい姿をしています。
このイソヒヨドリはユーラシア大陸に広く分布しており、日本でも全国で生息しています。
イソヒヨドリが天敵とされるのは、ムカデの毒に耐性があるためです。
それゆえにムカデを好んで食べる習性があります。
また、毒の耐性はありませんがカラスもまた天敵とされています。
これはカラスが雑食であり、加えて頭が良くムカデをくわえて飛び去ってしまうことから、ムカデには抵抗できない相手なのです。
ただしカラスは人家のゴミをあさり、より美味しいものを選んで食べてしまうため、街の中のカラスはあまりムカデを好まないかもしれません。
鳥と同じ様に「ムカデを丸飲みにしてしまう」のが、大型のカエルやヘビです。
これらの生き物はイソヒヨドリやカラスとは違って、ムカデの生息場所のごく近いところに住んでいます。
つまり生息域が近いため捕食される率も高くなるのです。
ムカデの生息場所に似た場所に住む生き物では、ミミズやナメクジなども挙げられますが、それらにとっても共通の天敵となり得るのです。
他にも、日本ではあまりなじみがありませんが、サソリや肉食のクモなども天敵となります。
ムカデを狙う生き物の中には「哺乳類」も含まれます。
中でも
- ネコ
- ネズミ
- 人間
が天敵でしょう。
ネコ
ネコは捕食のためではなく、遊びとして様々な生き物を捕える場合があり、その中にムカデが含まれているだけなのです。
その結果、ムカデが抵抗を試み、ネコに咬みついて難を逃れることもあります。
その場合、ネコは「毒が回り痛い目に遭う」わけですが、それにも関わらずネコはその習性から狩りをやめません。
海辺に住んでいる猫はムカデを狩らない傾向にありますが、山や平地に住んでいるネコはムカデも狩りの対象とします。
ネズミ
ムカデがネズミを捕食する場合もありますが、その逆となることもあります。
人間
現代において何より強敵となるのが、人間です。
季節によらず情報が頻繁に出回る現代では、「ムカデ=危険生物」という意識が我々にすっかり根付いてしまっています。
捕まえこそしませんが、殺虫スプレーを拭きかけられ、ほとんどと言って良いほど殺されてしまいます。
ムカデの駆除&噛まれた時の対処
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このような天敵に囲まれ、他の生き物とは変わらない程度の危険と隣り合わせの環境で、ムカデは生活しているのです。
ムカデの餌はなに?!
ムカデはとても獰猛(どうもう)な肉食生物です。
「触れた動物全てに咬みつく」ような狂暴な性格で、ヘビすらも殺してしまう事があります。
普段は
- コオロギ
- ゴキブリ
- ミミズ
などの他、ネズミも捕食しています。
人家に入り込むのは「ゴキブリを食べるため」だとされ、益虫であると言われることもあります。
しかしムカデが家に侵入し、布団や靴に入り込んで人間を咬むような被害もあることから、害虫扱いされることがほとんどです。
さいごに!
中にはムカデを飼育している人もいますが、やはりその毒性と獰猛性は危険です。
特に小さいお子さんが誤って触らないよう、きちんと伝えておきましょう。
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