ヤスデの種類は200以上!最大30cmのものも!天敵・幼虫・卵など生態まとめ!【画像】
益虫の一種ですが、「気持ち悪い」イメージから “害虫扱い” されている虫、それがヤスデです。
ヤスデは日本にも多く存在しますが、海外には想像を遥かに超える巨大なサイズも…
このページでは、ヤスデの種類や卵、幼虫、天敵など、『ヤスデの生態』についてわかりやすくまとめてみました。
- ヤスデの種類は200を超える!
- 最大30センチ!海外の3つの巨大ヤスデ!
- ヤスデの卵と幼虫を知ろう!
- ヤスデの天敵は誰だ?!
- ヤスデが増える時期はいつ頃?!
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ヤスデの種類は200以上も!
ヤスデはかなり大きくみると「多足上網 ヤスデ網」に分類され、それ以下は大きく
- フサヤスデ亜網
- タマヤスデ亜網
- ヤスデ亜網
に分類されています。
この中に「ヒメヤスデ目」や「ジヤスデ目」といった、小さなグループがあります。
そのため、同じヤスデの仲間であっても、亜網(細かな種類のようなもの)が違うと、「見た目」が大きく違ってきます。
たとえ目の前にいたとしても、ヤスデとすら気付かないかもしれません。
それほどバリエーションに富んだ生き物であり、その数は分かっているだけでも200種類以上!
未記載種のヤスデも少なくないため、似たもので同じグループであっても「和名がついていないもの」もあります。
つまり同じ種類でも、「他種と見間違えるほど体色や形が異なるもの」もたくさんいると言う事です。
ではここから、
日本でよく見られる3種類の代表的なヤスデを紹介しましょう!
日本でよく見られる3種類の代表的なヤスデ
ヤケヤスデは日本で一番と言って良いほど、全国で良く見かける種類のヤスデです。
「焼けたような体色」をしているため、ヤケヤスデと名付けられています。
多湿環境を好み、
- ジメジメした落ち葉の下
- 腐葉土の中
などで暮らしています。
「木や草が枯れたままの植木鉢」を放置しておくと、中に侵入するかもしれません。
また庭の隅に落ち葉を放置していても、落ち葉を食料とするため、そこに住み着いてしまう可能性があります。
このヤスデは、人家に近い畑や林ではごく一般的に見られ、大発生を起こして問題となるヤスデも大抵がこの種類です。
刺激を与えると丸まって防御するため、ムカデと違うことが分かります。
体長
20mm前後で小さめのヤスデです。
体色
淡褐色〜黒色でツヤがあります。
色は個体によってばらつきがあり、バリエーションが見られます。
脚は淡い黄色〜白色です。
ウスアカフサヤスデは、「海岸沿いの石の下」や「樹皮の裏」などに多く見られます。
「フサヤスデ」の仲間の中では、もっとも多く目にする種類です。
見た目は「フサヤスデ」の名のとおりフサフサとした白い毛で覆われています。
尻に白い毛束をたくわえていて、小さなブラシのように見えるのが特徴です。
フサフサした毛のせいで頭部がどちらか分かりにくいですが、この毛束が尻側だと分かれば、反対側の頭部に小さな複眼があることも分かるでしょう。
フサヤスデは他のヤスデとは違い、海岸に近い環境に住んでいます。
これは食性が肉食で、生物の死骸などを食べているためだと言われます。
越冬するため一年を通して姿を見せることがあり、冬眠のような休眠期はありません。
体長
4〜5mm前後でとても小さなヤスデです。
体色
体幹は淡褐色で、白い毛でおおわれています。
この不思議な名前は「汽車を止めるヤスデ」からきています。
このヤスデは一般的な種類とは大きく異なり、通常は1年以内に成虫となり地表に出て活動する幼虫が、なんと7年もの間土の中で過ごす習性があるのです。
1年に何度も「脱皮」を繰り返して成虫となるヤスデですが、このキシャヤスデに限っては、脱皮は1年にたった1回だけ。
そのため、成虫になるまでがとても長いのです。
そして8年目、7回の脱皮を経てやっと成虫となったキシャヤスデは、一気に姿を表します。
キシャヤスデにとっては、交尾する相手を探すために同種で一斉にお見合いを始めるわけです。
そしてこれがキシャヤスデの歴史に残る大発生となり、その分泌液や体液が「列車をスリップさせて止めてしまう」ほどの大事件となります。
汽車に踏みつぶされたキシャヤスデの体液は、他のヤスデ同様に油性で、電車は線路を滑ってしまいます。
そのため、山間部に差し掛かった車両が坂を登れなくなってしまうのです。
実際に、1976年、1984年、1996年には電車が立ち往生した記録が残っています。
なおキシャヤスデは
- 群馬県
- 長野県
- 山梨県
- 埼玉県
の山の中で多く発生しています。
近縁種には、見た目は似ていますが「エチゼンキシャヤスデ」や「トヤマキシャヤスデ」などがいます。
【近縁種:エチゼンキシャヤスデ】
【近縁種:トヤマキシャヤスデ】
体長
35mm前後の大きさで、ヤスデの中では大きめです。
脚の数がオスが30対、メスは31対となります。
体色
薄いオレンジとピンクの間のような淡い色ですが、10月ごろになるとだんだんと赤茶色が増して、しま模様も濃い目の焦げ茶色となります。
大発生する時期は淡い白色〜クリーム色です。
海外にいる巨大な3種類のヤスデ
海外には、想像を遥かに超える大きさのヤスデが存在します。
アフリカに生息する世界最大級のヤスデの一つです。
20センチ以上が標準サイズとなっており、見た目からも強烈な毒を持ってそうですが、その点は普通のヤスデと変わりません。
【動画】
これまた「アフリカ」に生息するオオヤスデであり、見た目もタンザニアオオヤスデと似ています。
タンザニアオオヤスデと別種なのかは不明とされています。
恐らく「マレーオオヤスデ」だと思いますが、ツイッター上では「40センチを超えるもの」を発見している方もいらっしゃいます。(上の画像)
タンザニアオオヤスデなどと比べ、脚が白いのが特徴ですうう。
マレーシアや東南アジアに生息している種類であり、これまた20センチ以上に成長するのが普通だとか…
なんと光るヤスデも発見された!
海外では光るヤスデの存在も確認されています。
「ブラックライトを当てると青く反応するヤスデ」はこれまでにもいましたが、以下の動画に出てくるヤスデは自らが青緑色に発光します。
【00:27〜 光るヤスデ】
これは特殊なたんぱく質を身体に有しており、それを常時発光させているとのこと。
さらに光がもっとも強い種類にいたっては、「毒液の強さも強力」と言うことが分かっているようです。
※ヤスデの分泌液には毒があります
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ヤスデの卵と幼虫の特徴!
ここからは、
ヤスデの「卵・幼虫」について説明していきましょう!
ヤスデの産卵!
ヤスデは一匹の産卵数が150個前後ですが、多い場合は300個も生む事もあります。
ヤスデは元々集団を形成することから、近い場所にいくつものメスがいて、それぞれが150個前後の卵を産む計算となります。
同じ場所で大量発生するのはこれが原因です。
メスは10月までに、このようにたくさんの卵を産んでいきます。
ちなみにヤスデは落ち葉や腐朽木などのある環境で生息しています。
卵を産む場合は、その地表から2〜10センチほどのところに産み付けます。
なおヤスデは卵を “糞” のようにしてしまうため、「卵なのか糞なのかが分からなくなる」とされています。
ヤスデの孵化!
10月下旬ごろになると、幼虫が生まれます。
幼虫はとても小さく、植物のヒゲ根のように見え、気付かないこともあるくらいです。
しかし成虫と同じように、つつくとクルリと丸まります。
この幼虫は成虫のような濃い色ではなく、美しい半透明の白色をしています。
とても大食漢で、腐った植物の根や腐葉土、落ち葉をたっぷり食べて成長していきます。
春の活動期まで脱皮を繰り返していきますが、脱皮のたびに体節と足の数が増えていきます。
成長期の幼虫
続いては「成長している最中の幼虫」についてです。
成虫は落ち葉や枯れ葉を大量に食べて、さらに「糞として排出したもの」をもう一度食べます。
それにより、最初に食べた中には含まれていなかった、「微生物が分解した栄養分」をさらに取り込みます。
しかし幼虫は「微生物分解で出た成分」は取り込みません。
腐植をエサとして過ごし、土壌の中に「脱皮室」と呼ばれる小さな部屋を作ります。
この部屋の中で安全に脱皮を行い、齢を重ねていきます。
この脱皮は7回続き、8回目でようやく成虫となります。
大抵の種類は、ひと冬で脱皮を繰り返して成虫となりますが、キシャヤスデのように脱皮の周期が遅く、7年を要するものもいるのです。
幼虫が作るこの脱皮室は、カブトムシやクワガタの蛹室のようなものですが、土壌の中に空気を入れ排水しやすい環境となるため、結果として土壌改良に一役買っています。
この習性のおかげで、土壌の中に嫌気性菌が増えすぎることを防ぎ、好気性菌をある程度増やし、「排水しやすい環境」に作り替えてくれるのです。
ここがヤスデが「土壌改良の益虫」だとされる行動です。
成虫になっても落ち葉を分解し有機物を取り込むため、まるで生物の腸内のように、土壌の栄養分を消化しています。
結果として、幼虫であっても成虫であっても、ヤスデの働きによって「植物が生育しやすい環境」が保たれています。
ヤスデの幼虫の「畑」での役割!
上記にもありますが、ヤスデのおかげで土壌の改良が速やかに適切に行われています。
そんなヤスデの習性を利用しようと、幼虫を育成するために麦や稲などの藁を刈り、地表に敷き詰めて布団のように覆ってしまう方法があります。
これはヤスデの幼虫が藁の下で成長していき、成虫となるまで藁を食べ続けて分解することで、間接的に土壌を改良するためです。
ヤスデが発生した畑は、幼虫の働きにより適度な通気性と排水性があり畑としてふくよかになります。
そして成虫が育ち、土壌はますます栄養豊富となります。
そのあとに麦を育てても、苗が腐らない限りはヤスデが麦を食べてしまうことはありません。
作物に害を及ぼすどころか、ヤスデのライフサイクルを利用して一緒に育てることで、良い土壌で栄養豊富な作物を実らせることができます。
殺虫剤を撒いてわざわざお金をかけたり、健康リスクを高めたりする心配もありません。
幼虫の時期の働きは、こんなところで役立っているのです。
ヤスデの天敵は?!
ヤスデには天敵が存在するのでしょうか?
あまり聞いたことはないかもしれませんが、ヤスデを食べてしまう生き物は少なからず存在しています。
@昆虫を捕食する昆虫類
攻撃性のアリ、スズメバチ、幼虫を食べるキリギリスやバッタ類、クモなど
A昆虫を食べる鳥類
たいていの鳥が食料として昆虫を捕食する
B昆虫を捕食する爬虫類、両生類
カエル、トカゲなど
これらの生き物は昆虫を主に食べているか、ヤスデと近い環境に住んでいるために捕食している生き物ですが、ヤスデを好んで食べる生き物は少ないようです。
なぜなら、ヤスデは刺激を受けるとクルリと丸まり、固い殻で自分の身を守っていますので、簡単には食べられないからです。
そして何より強烈なのが、ヤスデの発する「臭いの毒」です。
この毒は人間でも異常を起こすほどの猛毒の類となりますので、たとえ爬虫類や両生類であっても、無害で食べることが難しいとされます。
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このようにしてヤスデは自分の身をしっかり守り、特定の天敵などを作らずに上手に暮らしています。
そのため「駆除対策」に天敵を使おうとしても、残念ながら確実に効果のある生き物はいないとされています。
徹底的に駆除するなら!
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ヤスデが増える時期は?!
ヤスデが増える時期は、
- 梅雨
- 秋雨
といった「長雨のあと」とされています。
特に6月は「幼虫のヤスデが成虫となって地に出てくる時期」なので、如実にその数が増えます。
さらにヤスデは「湿った環境」が好きですが、“大量の雨が降ると溺れてしまうため、地上に逃げて来る” と言われています。
このように「雨の時期」+「成虫の時期」によって、特に増えるように感じるのです。
ちなみに、梅雨明けの7月〜8月は見かけることが少なくなり、そして9月〜10月には秋雨によってまた多くの固体が地上に這い出てきます。
そして11月以降はまた姿が見えなくなるのです。
さいごに!
ヤスデの種類や、天敵・幼虫・卵・増える時期など「生態」について説明しました。
見た目は気持ち悪いですが、土壌の改善に役立つ「益虫」である事がお分かり頂けたかと思います!
なおヤスデについては、
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