カメムシの種類や天敵、寿命、噛むか?飛ぶか?など【生態まとめ】
こんにちは。
山奥の実家で20年、多くの虫と暮らしてきたアキラです。
強烈なニオイを放ち、人間から「害虫」として煙たがられているカメムシ。
実はその仲間は非常に多く、身近な生物も「カメムシの仲間」の可能があります。
今回は、そんなカメムシについて
- どれくらいの種類がいるのか?
- 天敵はいるのか?
- 噛んだり飛んだりするのか?
などなどを、どこよりも分かりやすく説明します。
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カメムシの仲間(種類)を知ろう!
現在は「害虫」として有名なカメムシですが、実は「カメムシ」という和名は存在しません。
日本のカメムシの仲間はとても多く、1150種類前後が確認されており、現在は20以上もの「科」に分かれています。
その中でも
「カメムシ目 カメムシ亜科」の中の、カメムシ科
の昆虫を総称して、「カメムシ」という名前で呼んでいるのです。
「アメンボ」や「タイコウチ」「ミズカマキリ」といった、水辺の代表的な昆虫も、実は「カメムシ」の仲間なのです。
それほど姿形が似ていなくても、「カメムシの仲間」は私たちの周りに幅広く存在しています。
しかしここでは、カメムシ科の「カメムシらしい形をしたカメムシ」をご紹介します。
日本の代表的なカメムシたちです。
「マルカメムシ科 マルカメムシ亜科」 に属するカメムシの仲間です。
体の特徴と大きさ
体長は5.5mm前後。
丸っこい体つきで、黄褐色のベース色の上に「濃い茶色の点」が密集しているのが大きな特徴です。
カメムシは地域によっては緑色だと思われている事も多く、本種はパッと見ではカメムシに見えないかもしれません。
また丸みがあるため小さな甲虫に間違われることもあるようです。
生息場所は?
本州、四国、九州、対馬、大隅諸島、トカラ列島など、国内では「北海道をのぞくほとんどの地域」で確認されています。
海外では「朝鮮半島」にもすでに生息が確認されています。
アメリカでは2009年頃に侵入したとされ、害虫として対策されています。
発生時期は?
4月から10月の「暖かい時期」に行動します。
その他、特徴は?
マメ科植物を好むマルカメムシは、近年「道路わきなどで大繁殖しているクズの茎」などに集団で群がっています。
他にもフジ、アズキ、ハギなどの「マメ科植物」の他、
- ミカン
- ウツギ
などにも大量に群がります。
どこででも目にする一般的なカメムシで、小さい原っぱや空き地、河原の草地、民家の庭などでも頻繁に見かけます。
刺激するとカメムシ特有の「くさい臭い」を出します。
「カメムシ科 カメムシ亜科」に属するカメムシの仲間です。
体の特徴と大きさ
体長は12〜15mmほど。
全体的に黄緑色でツヤがないのが特徴です。
この色のせいか、群がっている葉と同化している個体も多く見られます。
また個体差も大きく、食性によっては色彩変異もあるため、
- ミナミアオカメムシ
- チャバネアオカメムシ
などの似た種類に間違えられることもあります。
生息場所は?
北海道、本州、四国、九州、沖縄など、日本全国に分布。
発生時期は?
4月〜11月前後の暖かい時期に行動します。
その他、特徴は?
マメ科、イネ科、キク科など実に広範囲の植物を好み、数匹で群がって葉の汁を吸っています。
その影響から本種は「イネ科の代表的な害虫」として知られています。
野草だけでなく果樹や野菜類にもつくため、農家ではやっかいな農業害虫として駆除されています。
また一般的な種類で「夜の街灯」にも群がっていることがあります。
農業地域でなくても良く見られるカメムシです。
この種類は刺激すると「カメムシ特有の強烈なにおい」を出します。
キンカメムシ科キンカメムシ亜科に属するカメムシの仲間です。
体の特徴と大きさ
体長は17〜20mmほどで、他の種類よりもやや大きめのカメムシです。
濃い緑色に「赤錆色の模様」が入ったカメムシです。
その鮮やかな色合いは、「日本で最も美しいカメムシ」の一つだとされています。
環境によってベースの緑色が
- 真っ黒になる個体
- 黄色味が強くなる個体
もいますが、赤い模様はそのまま発色するため、美しいバリエーションが見られます。
幼虫は「黒ベースに白模様」、羽化したばかりの状態では「鮮やかな真っ黄色」となるため、どのライフステージでも美しいカメムシだと言われています。
生息場所は?
本州、四国、九州に分布し、特に暖かい地域を好んで住み着きます。
キンカメムシ科は元々熱帯系のカメムシで、高温の地域に多く生息しています。
発生時期は?
6月の梅雨時期以降から、夏真っ盛りの8月あたりまでとなります。
その他、特徴は?
アカスジキンカメムシの大きな特徴はその美しい見た目です。
採集する人も多く、「害虫」として嫌がられるイメージのないカメムシだと言えます。
とはいっても珍しい種類ではなく、夏になると「東京都内にも見られる一般的なカメムシ」です。
木の幹にとまってストローのような口を樹皮にさして中の汁を吸っている姿が良く見られます。
繁殖の時期になると都内の公園の植物などでも幼虫を確認でき、群れをなして越冬している様子を目にすることができます。
カメムシ科カメムシ亜科に属するカメムシの仲間です。
体の特徴と大きさ
体長は15〜17mm前後。
全体的に茶色でまだら模様で統一されており、幼虫の時から「目が赤い」のが特徴です。
その他には、平凡過ぎて特徴のないカメムシだと言われています。
変異は少ない種類ですが、生活環境や食性による個体差で「赤みの強い個体」も確認されています。
また「秋の紅葉のようなオレンジ色」の個体もあり、独特の渋さがあります。
生息場所は?
本州、四国、九州、沖縄の他、南西諸島全域に分布しています。
東南アジアに広く見られ、朝鮮半島や中国でも確認されています。
発生時期は?
4月から10月の長い期間を活動しています。
その他、特徴は?
非常に地味で「カメムシの典型のような姿形」をしています。
昔から「クサギ」というシソ科の植物に多く群がっていることから、この名前がつけられました。
しかし食性は非常に幅広く、作物を食い荒らしてしまうため「利益が一切ない害虫」とさえ言われています。
また本種はカメムシの中でも「最も臭気の強いカメムシ」と言われており、刺激すると激臭を放ちます。
家の中で放った場合は頭痛や悪心に悩まされるため、越冬時は家の中に入らないように注意した方が良い種類です。
本種は激臭を放つ「衛生害虫」だと言われていますが、同時に「農業害虫」でもあります。
クサギカメムシは主に
- クワ
- ウメ
- ミカン
- カキ
- ナシ
- モモ
などの果実の汁を吸って、その果実を荒らしてしまいます。
汁を吸われた果実は表面が変形して出荷できなくなるため、農家は多大な被害を被ります。
また豆類も好物で、ダイズやササゲ科の植物の汁を吸って害を及ぼします。
さらに「ファイトプラズマ」と呼ばれる「植物に寄生する病原細菌」を運ぶ役割を担っているため、植物全体が害を受ける場合もあります。
「利益が一切ない害虫」と呼ばれるのも、うなずける種類なのです。
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カメムシの天敵は4つに分かれる!
カメムシは我々人間の「害虫」だとされていますが、無敵ではありません。
他の生き物と同じように、天敵に怯えながら暮らす小さな昆虫です。
ここでは、様々なカメムシの「天敵」をご紹介します。
- カメムシを食べる生き物
- 「カメムシの卵」に寄生する生き物
- 「カメムシの卵」を食べる生き物
- カメムシを利用する植物
カメムシを食べる生き物は案外存在しています。
- カマキリ
- トンボ
- クモ
- カエル
- 鳥
- トカゲ
このような生き物が小さな昆虫を食べているわけですが、カメムシとなると、どの生き物も実は「好き好んで食べているわけではない」のです。
カメムシは特有の「くさい臭い」を放っているため、「食べる側」に嫌われるのは当たり前ともいえます。
農作物の被害が著しい場合は、これらの「天敵となる生き物」を放っておきたいところですが…
これらの生物でも、好んでカメムシを食べることはないため、「天敵によるカメムシの駆除」は難しいでしょう。
カメムシ自体を食べるのではなく、「カメムシの卵の中に自分の卵を産んで、寄生させてしまう昆虫」がいます。
それが「寄生蜂」や「ヤドリバエ」と呼ばれる昆虫です。
カメムシに寄生をおこなう代表的な昆虫は以下の5種類です。
- チャバネクロタマゴバチ
- ヘリカメクロタマゴバチ
- カメムシタマゴトビコバチ
- ホソヘリクロタマゴバチ
- マルボシハナバエ
チャバネクロタマゴバチはとても優秀で、「寄生する卵」がほかと被らないようにマーキングをして、見つけたカメムシの卵にまんべんなく自分の卵を産みつけます。
しかし卵を産みつけられないようにカメムシの習性も変化しており、
- 食べる植物(カメムシは植物を食べます)
- 卵を産む植物
を分けています。
これは「食べるための植物」に群がるカメムシを天敵が認識しており、同じ場所に産卵すると、あっという間に見つかってしまうためです。
そのため、「食べる植物」と「産卵するための植物(場所)」を分けることで、天敵から見つかる可能性を下げています。
それでも見つかって寄生されてしまいますので、寄生蜂やヤドリバエはカメムシにとって「恐ろしい存在」であることは間違いありません。
「カメムシの卵」を食べる昆虫も存在します。
代表的な昆虫には、以下の4種類が挙げられます。
- ゴミムシの仲間
- オオトビサシガメ
- グンバイメクラガメ
- アブの仲間
名前の最後に「ガメ」がつく昆虫は、爬虫類の亀ではなく「カメムシの仲間」。
同じカメムシの中の「メクラカメムシ科」に分類されている、カメムシの一種を指しています。
同じカメムシではありますが、食性は荒っぽく、小さな昆虫を捕獲することもあり、基本的には「肉食性の生き物」です。
カメムシの「大量発生」や「農作物への被害が著しい」場合に、これらの生き物を使って撃退しようとする研究も行われています。
「卵のうちにカメムシを駆除できる」とあって、現在期待されている研究分野です。
カメムシには一部の植物も天敵となります。
代表的なものがこちらの3種です。
- ミミカキタケ
- ハエトリソウ
- ウツボカズラ
「ミミカキタケ」はキノコの一種ですので、正確には植物ではありませんが、「カメムシの脅威」となり得る生物です。
ミミカキタケは「カメムシの成虫」の体内に入り込み、体液を養分として育ちます。
いわゆる「冬虫夏草(とうちゅかそう)」の一種なのです。
※冬虫夏草・・・虫に寄生するキノコであり、冬は虫の姿で過ごし、夏になると虫から開花するもの
現在は「貴重な薬」として、漢方薬店などで取り扱われています。
また「ハエトリソウ」や「ウツボカズラ」は観賞用としても人気のある植物ですが、カメムシにも反応する食虫植物です。
これらは「待ち受け型」ではありますが、カメムシにとっては自然界の脅威となり得る植物たちなのです。
カメムシの寿命はどれくらい?
カメムシの寿命は
- 成虫は1年程度
- 卵の時期を入れても1年半程度
と言われています。
一般的なライフサイクルは以下のとおりです。
春〜初夏
気温が20℃程度に暖かくなると、活動を開始します。
夏
活発に動き回り交尾相手を探し、交尾が済んだ後は産卵を行います。
成虫はこの時期に命を終えて、次の世代に引き継がれます。
秋
産み付けられた卵から幼虫が産まれ、2か月前後をかけて成虫となります。
幼虫は成虫になるまでに、5回ほど脱皮を行います。
晩秋
成虫となっても、すでに秋になっている場合は交尾・産卵は行いません。
越冬の条件が「成虫個体」であるため、産卵して孵化できない環境(秋冬)になれば、産卵は行わずに成虫のまま越冬します。
夜の気温が10℃以下になると、群れを成して冬眠場所を探し始めます。
冬
たくさんのカメムシが集まって、「葉の裏」や「木のうろの中」で越冬をします。
カメムシの一生はこのようなサイクルとなっているため、他の小さな昆虫と同じように短い寿命となっています。
なお春や秋、もしくは異常気象によって一時的な「大量発生」が起こる場合もあります。
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カメムシは噛むの?
続いては「カメムシは噛むのか?」という点について説明します。
結論から言うと、噛む(刺す)可能性はあります。
カメムシの口の構造
カメムシに気が付かずに刺激してしまうと、「驚いて人間を噛んでしまう」と言われています。
しかしカメムシは実は「噛む」ことができません。
樹液や植物の汁を吸って生きているカメムシには、ガブっと噛みつくような構造の口はないのです。
「ストロー状の長い口」を皮膚に突き刺す場合があるため、実際は噛むのではなく「刺す」に近い構造となります。
この長い口は「吸血するためのもの」ではなく、あくまで「植物の汁を吸うためのもの」なので、カメムシも「誤って」人間を刺しているのです。
あえてヒトを刺すカメムシもいる?
カメムシは、基本的には人を刺すことはありません。
しかしそんな中にも例外はあり、カメムシの仲間の「サシガメ」だけはヒトを刺す習性があります。
これはサシガメが他のカメムシとは違って「動物食」であるためです。
昆虫や哺乳類の血液を吸ってエサとしているため、人間であっても触れると刺すことがあるのです。
カメムシに刺されたら?
もしカメムシに刺された場合は、落ち着いて傷口を水で流しましょう。
カメムシには毒はありませんが、最初は腫れてかなりの痛みが伴います。
カメムシは刺した際に「消化液」を注入してきますので、そのための痛みや患部の変色があるでしょう。
ハチのような鋭い痛みとなるため驚きますが、数日間細菌が入らないように清潔を保っていれば問題ありません。
また傷跡もほとんど残りません。
そのため基本的に「自然治癒でも問題ない」とされていますが、中にはカメムシによるアレルギー症状で「紅斑」が出てしまう人もいるようです。
その場合はなるべく早めに病院で治療を受けましょう。
タガメには気をつけよう
日本における最大のカメムシ、それが「タガメ」です。
タガメのもつ針や毒は強力なので、特にタガメには刺されないように気をつけなければなりません。
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カメムシは飛ぶの?
カメムシは「飛ぶことができる昆虫」です。
家の中に侵入された時、「ぶーん」という羽音で気付くことも少なくありません。
カメムシの背中は硬いイメージがありますが、「カブトムシに似た構造」をしています。
「前翅(ぜんし)」と呼ばれる背中の表面の固い羽根を両脇に開くと、中から「後翅(こうし)」と呼ばれる薄い羽根が出てきます。
後翅は前翅の中に少し折り畳まれて入っており、白くて薄い構造です。
※カメムシは前翅も半分が透明になっている
これらを順に広げて飛び立ちます。
カメムシの背中の特徴である、真ん中に位置する「逆三角形の固い部分」は小楯板(しょうじゅんばん)といいます。
この部分は左右には開きません。
この両脇にある前翅が開き、逆三角形の小楯板はこのままとなります。
カブトムシやクワガタにも小楯板はありますが、「前翅と同じくらい大きい小楯板」はカメムシの特徴の一つです。
カメムシは冬眠する?
「カメムシの寿命」でも説明しましたが、カメムシは「冬眠する生き物」です。
テントウムシと同じで、集団で「木の幹の中や葉の裏」などに集まって冬眠をします。
しかし「家の中に集団で入り込んで越冬する」場合もあります。
冬眠から覚めた春に家の中で大群が動き出すこともあるため、春はカメムシに入り込まれないように対策した方が良いでしょう。
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カメムシの冬眠の条件は?
カメムシが冬眠に入るには条件があります。
気温条件
「気温が昼15℃以上夜10℃以下の場合」です。
この程度の寒暖差が出てくると冬であると判断し、冬眠に向けて場所を探し始めます。
場所の条件
越冬場所は、命に関わりますので非常に重要です。
カメムシの越冬場所は
- 木のうろの中
- 葉の裏
- 岩の隙間
- 家屋の周辺や部屋の中
など様々で、生息している種類によっても異なります。
中には「山間部のみに生息する種類」もいるため、すべてのカメムシが家屋に侵入するとは限りません。
しかし気を付けておくに越したことはないでしょう。
そうして無事に越冬できたカメムシたちは、外気温が「15℃以上」になると冬眠から目覚め始め、20℃以上になる頃には活発に動き出すのです。
あの「強烈なニオイ」の成分はなに?
ニオイの成分や、臭いの消し方については別ページでまとめています。
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さいごに!
カメムシの生態について紹介しました。
カメムシは「強烈なニオイ」を放つことで有名ですが、このニオイはかなり落ちにくいですよね。
そんなカメムシのニオイを簡単に落とす方法もまとめていますので、あわせてご確認下さい!
>>カメムシの臭いの消し方7つと成分!自然に消える?ファブリーズは有効?
また大量発生する原因や対策についてもまとめています。
>>カメムシが大量発生する3つの時期・原因と対策6選!【大雪との関係】
なお「害虫」として扱われていますが、カメムシの仲間でもある「タガメ」は、希少価値の高い「水棲昆虫」として人気があります。
刺されると危険ですが、「大きなカメムシ」としてぜひ知っておきましょう!
>>タガメの生息地と飼育方法!卵を壊す理由や天敵、捕食方法を学ぼう!
また、タガメと似た「ゲンゴロウ」についても、違いなどを分かりやすくまとめています。
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