事実婚(内縁)の意味・定義・違いまとめ!メリット5つとデメリット4つ!

事実婚(内縁)の意味・定義・違いまとめ!
メリット5つとデメリット4つ!

こんにちは。
元市民課職員のアキラです。

 

昨今、メディアでも頻繁に耳にするようになった『事実婚』という言葉。

 

しかし、その意味や定義、さらには『内縁』との違いについて知っている方は少ないでしょう。

 

このページでは、

 

  • 事実婚と内縁の違い
  • 事実婚の意味や定義
  • 事実婚することでのメリットやデメリット

 

をまとめています。

 

分かりやすく説明していますので、ぜひ最後までお読み頂ければと思います。

 

 

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事実婚と内縁の違いは??

まず最初は、多くの人が気になるであろう『事実婚と内縁の違い』について説明します。

 

これは結論から述べますと、事実婚と内縁は同じ意味です。

 

これらはどちらも、婚姻届を提出・受理されることなく婚姻関係にある状態を言います。

 

日本において本来は、婚姻届を提出することで「法律婚(届出婚)」となり、正式に婚姻関係が認められます。

 

しかし、婚姻届を出さないまま「夫婦のような共同生活」を営む場合に、事実婚や内縁という概念が用いられます。

 

 

 

ではなぜ二つの言葉があるのか?

「事実婚」と「内縁」という2つの言葉について、それぞれに違ったイメージをお持ちでは無いでしょうか?

 

これについて、少し探ってみると…

 

事実婚の概念が内縁と区別して用いられる場合、一般に内縁関係においては当事者間に婚姻意思がありながらも届出を出すことができないような社会的事情がある場合を含んでいたのに対し、内縁とは区別して事実婚という概念を用いる場合には特に当事者間の主体的な意思に基づく選択によって婚姻届を出さないまま共同生活を営む場合を指して用いられる

 

引用:wikipedia

 

 

難しそうな話が並びますが、パパッと簡単に説明するとすれば

 

  • 事実婚

    ⇒「夫婦別姓でいたい」など、意識的にあえて選択した場合に、自ら『事実婚です』と用いることが多い

  • 内縁

    ⇒不倫のような人様に言えない事情があり「悪いイメージ」をもたれることが多いため、事実婚の人からは敬遠される言葉である

 

ということですね。

 

内縁になぜ「悪いイメージ」が持たれるのかと言うと、内縁の一つに「重婚的内縁関係」という、いわゆる「不倫」状態を指す言葉があるためです。

 

 

 

本来は「内縁」という言葉が正しい!

事実婚・内縁はどちらも同じ意味を指しますが、現代では

 

  • 事実婚=ポジティブな意味合い
  • 内縁=ネガティブな要素を含んだ意味合い

 

で用いられることが多く、これらの使い分けは「当事者の意識」や「周りから見えている関係性」によって変わるでしょう。

 

しかし本来は、「内縁」という言葉は法律用語となっており、メディアなどではこちらの言葉が使われることが一般的です。

 

とは言え、『同性婚』といった言葉が浸透してきた現代においては、結婚への考え方も多様化してきました。

 

その中で、「内縁」と同義語でもある

 

  • 事実婚
  • 準婚

 

という言葉も、ニュアンスを変えて一般社会に浸透してきたのです。

 

 

 

事実婚(内縁)の意味・定義とは?

事実婚(内縁)の意味としては、冒頭で説明したとおり

 

婚姻届を提出していないが、お互いが「婚姻の意思」を持った上で、事実上夫婦としてともに生計を立てている状態

 

を言います。

 

※法律婚と同様に、必ずしも一緒に住んでいなくとも事実婚は成り立ちます

 

では、事実婚(内縁)の状態がどこかに明確に定義されているのかと言うと、具体的な定義は無いのです。

 

ただし、2人で一緒に暮らしている「同棲(どうせい)」との違いは明確にあります。

 

それが「“婚姻の意思”の有無」です。

 

2人がただ一緒に生活しているだけであれば、それはただの同棲です。

 

ここで、婚姻・事実婚(内縁)・同棲の違いを簡単に表にしてみると…

 

法律婚

内縁

(事実婚)

同棲

生計をともにしている

婚姻届を提出している

×

×

双方に婚姻意思がある

(夫婦であるという認識)

×

 

 

ざっくりと見るとこのように表せます。

 

ちなみに、『3年以上同居したら内縁の妻になれる』と勘違いしている方も多いため、次は「どうすれば事実婚(内縁)と認められるのか?」について説明しましょう。

 

 

 

事実婚(内縁関係)と認めてもらう2つの要件!

事実婚(内縁)のメリット・デメリットはこの後説明しますが、事実婚であることが認められると、社会保険の「被扶養者」になることも出来ます。

 

また、夫婦関係を解消する際には、

 

  • 慰謝料の請求できる
  • 財産分与を受ける
  • 養育費を請求できる

 

といった「法律婚と変わらない側面」もありますので、双方が夫婦になる事を望んでいるのであれば、内縁として認められたいですよね。

 

 

 

認められるための2つの要件!

ではどうすれば認められるのか?

 

たまに『3年以上同棲したらそれは内縁だから、もし別れた場合は慰謝料を取れる』と単純に考えている方もいらっしゃいますが、そうではありません。

 

上で説明のとおり、内縁関係とは大前提として「@双方が夫婦である意思を持っていること」が必要です。

 

その上で、「A共同生活をしていること」が必要

 

つまり、2人の間において夫婦の自覚があることはもちろんのこと、第三者から見ても実質的に夫婦生活を営んでいる状態であることが必要となります。

 

「3年間同棲をしていた」というのは一つの判断材料であって、だからと言って内縁と認められるとは限りません。

 

しかし逆に言うと、3年間夫婦生活をしていなくとも、上の2つの要素を満たした上で以下のような事実があれば、内縁関係(事実婚)として認められやすくなります。

 

 

認められやすくなる5つの事実
  1. 双方の親や家族から、2人が夫婦として扱われている
  2. 二人の間に「認知した子ども」がいる
  3. 同居している
  4. 住民票が一緒になっている

    ⇒「世帯主との続柄」において、他方が「夫(未届)or妻(未届)」になっているとなお良い

  5. 家計をともにしている

 

 

なお上記のCについては、以下ページで手続きを説明しています。

>>事実婚(内縁)の手続きまとめ!住民票の妻(未届)で同棲との違いを証明せよ

 

 

 

法律婚と、事実婚(内縁)の3つの違い!

ここまでは「事実婚・内縁・同棲」の違いなどを説明してきましたが、ここでは「法律婚(通常の婚姻)」との違いについて説明しておきましょう。

 

通常の婚姻との違いは、大きく以下の3つです。

 

 

 

「戸籍」における違い!

最も大きな違いが「2人で同じ戸籍に入るか否か」です。

 

事実婚(内縁)の場合は、『事実婚します!』と特別な手続きをする必要がありません。

 

そのため、もちろん双方は「元の戸籍」から移動することも無く、夫婦は別姓のまま維持されます。

 

一方「通常の婚姻」では、2人で婚姻届を提出することで新しい本籍に2人の戸籍を作り、一緒に入ります

 

※本籍とは「戸籍をおいている住所」のこと

 

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「相続」における違い!

民法においては、法定相続人は「配偶者」とされており、通常の婚姻であればお互いが相続人になります。

 

しかし事実婚の場合は、その男女間において相続関係は成り立ちません。(遺言による遺贈は可能だが、相続税が高くなる)

 

 

 

「子の扱い」における違い!

事実婚の2人の間に子どもが出来た場合、子を産んだ母はもちろん「子の母」として認められます。

 

しかし父においては、「認知」をしなければ父親としては認められません

 

また子は「母の戸籍」に入るため、当然父とは別姓になります。

 

ちなみにですが、子供の呼び方として

 

  • 法律上の婚姻関係にある男女から生まれた子

    ⇒嫡出子(ちゃくしゅつし)

  • 法律上の婚姻関係にない男女から生まれた子

    ⇒非嫡出子(ひちゃくしゅつし)

 

という違いがあり、事実婚の間の子は「非嫡出子」として扱われます。

 

 

 

事実婚(内縁)によるメリット・デメリット!

ここでは、事実婚(内縁)による

 

  • 5つのメリット
  • 4つのデメリット

 

をそれぞれ説明していきます。

 

 

 

事実婚(内縁)による5つのメリット!

まずはメリットから説明していきましょう。

 

 

そもそも手続きが必要ない!

事実婚には「定義が無い」と説明したとおり、あくまでも事実上“夫婦の生活をしている状態”を指す概念であり、決まった手続きは存在していません。

 

そのため、婚姻届や戸籍謄本の提出といった手続きは一切必要ありません

 

ただし、社会保険上の扶養手続きなどで「事実婚を証明しなければならない時」のために、住民票は同一世帯として登録しておきましょう。

 

さらにその際、一方は「世帯主」となりますが、もう一方は「妻(未届)」or「夫(未届)」にしておくと良いです。

 

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>>事実婚(内縁)の手続きまとめ!住民票の妻(未届)で同棲との違いを証明せよ

 

 

※原則は手続きは必要ないですが、「事実婚」を証明できないと不利になるケースもあります(後ほど説明)

 

 

 

姓が変わらない!

同じ戸籍に入るわけでもないため、お互い名字が変わりません

 

一般的には女性が「男性側の姓」を名乗ることが多いですが、職業等の理由から、名字をどうしても変えたくないというケースもあります。

 

そのような場合には、この事実婚が大きなメリットとなります。

 

現行の法律では、法律婚(届出婚)をすると必ず同じ名字にしなければなりません。

 

とは言え最近は「夫婦別姓」も唱えられているため、そのうち法律婚であっても「名字を統一しなければならない」という問題はクリアできるようになるかも知れません。

 

 

 

離婚による戸籍への影響が無い

上でも説明のとおり同じ戸籍に入るわけでは無いので、たとえ事実婚関係を解消したとしても、双方の戸籍に『離婚』という文言は残りません

 

そのため、法律婚と比べると離婚へのハードルはグッと下がるため、良くも悪くも気楽に考えることが出来ます。

 

ちなみにですが、現代は「戸籍の電子化」が進んでいるため、たとえ法律婚をした後に離婚したとしても、「離婚」という文字は残りますが、×印が付くことはなくなりました。

 

 

 

社会保障の扶養には入れる

法律婚をしていれば、配偶者や子どもは当たり前のように「扶養」に入りますが、事実婚(内縁)の場合は要注意。

 

「扶養」と言っても、実は

 

  • 税金上の扶養
  • 健康保険(社会保障)上の扶養

 

という2種類に分かれるのですが、それらは全くの別制度です。

 

このうち健康保険(社会保障)上の扶養については、事実婚であっても「内縁関係」を証明できれば、法律上の夫婦と同様に取り扱われます

 

そのため、もしも事実婚した妻が「専業主婦」や「年収130万円未満」の場合は、国民年金や健康保険において被扶養者になることが出来るのです。

 

 

 

財産分与や慰謝料請求も出来る

事実婚(内縁関係)であったとしても、一方に夫婦関係が破綻する責任がある場合は、もう一方が慰謝料を請求することは認められます。

 

また財産分与においても、内縁関係が成立した後に夫婦間で築いた財産については、事実婚を解消する際に公平に分配することが出来ます。

 

ただし上でも触れたとおり、あくまでも事実婚(内縁関係)が成立した後の話ですので、『3年一緒に住んでたんだから内縁でしょ!別れるなら財産もらうよ!慰謝料請求するよ!』というのは、簡単には認められないでしょう。

 

 

 

事実婚(内縁)による4つのデメリット!

では続いて、事実婚(内縁)におけるデメリットを説明します。

 

 

子どもの扱いに対するデメリット

法律婚との違い」でも説明の通り、事実婚の2人の間に子どもが出来た場合、

 

  • 産んだ母

    ⇒「子の母」として認められる

  • ⇒「子の父」としては認められないため、認知が必要

 

という煩わしさがあります。

 

もしも子どもに「父の姓」を名乗らせたい場合は、「入籍届」を提出して父の戸籍へ移す必要があります。

 

ちなみに「入籍」という言葉に対して“結婚のイメージ”を持つ方も多いと思いますが、入籍とは誰かの戸籍に入ることを言います。

 

※結婚は「婚姻」です

 

 

 

法定相続人になれない

こちらも法律婚との違いで触れましたが、法定相続人は「配偶者」と決まっているため、法律的に夫婦と認められてない間柄においては、双方は法定相続人になれません。

 

もちろん遺言を残すことで遺贈(いぞう)は可能ですが、相続税が掛かります。

 

法定相続人に相続する場合にも相続税は掛かるのですが、配偶者・一親等の親族以外が相続すると、相続税が2割加算されるため、資産が大きければ大きいほどデメリットとなります。

 

 

 

税金の被扶養者になれない

扶養については事実婚のメリットで触れましたが、事実婚においては

 

  • 社会保証における扶養

    ⇒入れる

  • 税金上の扶養

    ⇒入れない

 

という制限があります。

 

そのため、配偶者に適用される

 

  • 所得税の「配偶者控除」
  • 贈与税の「配偶者控除」
  • 相続税の「配偶者の税額軽減」

 

などの適用は受けることができません。

 

ちなみに「年末調整の書類」は税に関わる内容であり、対象とならないため、名前を記載しない方が良いです。
(事務処理側も混乱すると思います)

 

※「社会保障上の扶養」には入れる点はメリットと言えます

 

 

 

社会から見ると少数派であるということ

事実婚(内縁)については、この日本においては圧倒的に少数派。

 

そのため「事実婚」「内縁」という言葉の意味を知らない方も多いですし、悪い印象を持たれることも多々あります。

 

また子どもが生まれた場合は、将来家庭の事情によってからかわれる可能性もあります。

 

面倒な手続きが無い代わりに、法律に認められない・守られない状況なので、後々色々な場面で面倒なことが起こり得る可能性は、認識しておかなければなりません。

 

 

 

事実婚(内縁)の手続きは不要だが…

繰り返しになりますが、事実婚の手続きは『原則は必要ない』です。

 

ただし「法律婚と極力同じ扱いを受ける※」ためには、住民票の手続きはしておくべきです。

 

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>>事実婚(内縁)の手続きまとめ!住民票の妻(未届)で同棲との違いを証明せよ

 

 

※丸っきり同じ扱いは受けられません

 

 

 

 

まとめ!

事実婚や内縁の意味・定義・違いの他、メリット・デメリットについて説明しました。

 

最後に簡単にまとめておきます。

 

  • 事実婚と内縁は同じ意味である
  • しかし「内縁」は不倫状態をイメージされることも多く、『名字を変えたくない』などの理由から意図的な内縁関係にある場合は「事実婚」という言葉が使われる傾向にある
  • 「内縁」は法律用語であるが、「事実婚」「準婚」などの言葉も浸透してきている
  • 事実婚(内縁)とは、「婚姻届を提出していないが、お互いが婚姻の意思を持った上で、事実上夫婦として生計をともにしている状態」を言う
  • 同棲との違いは「お互いが婚姻の意思を有しており、夫婦としての認識があるかどうか」の違いである
  • 「手続きが無い・姓が変わらない・離婚時の戸籍への影響が無い」などのメリットがある
  • 「子どもの扱い・相続面・将来的に色んな場面で面倒になる可能性がある・税金的な扶養を受けられない」などのデメリットがある

 

 

事実婚の手続きについては、以下を参考にして下さい。

 

>>事実婚(内縁)の手続きまとめ!住民票の妻(未届)で同棲との違いを証明せよ

 

 

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