ほうれん草のシュウ酸は結石の原因に?食べ過ぎによる影響と、シュウ酸の除去方法!
ほうれん草には独特の「えぐみ」がありますが、あれは「シュウ酸」が関係しています。
そんなシュウ酸について、
「結石の原因になってしまうのではないか?」
「食べ過ぎたらどうなるの?」
「どうにか除去できないかな?」
と言う疑問を抱えている方が多いかと思います。
そこでこのページでは、「ほうれん草のシュウ酸についてのアレコレ」をどこよりも分かりやすく説明していきます。
〜目次〜
- ほうれん草のシュウ酸は結石の原因になるの?
- ほうれん草を食べ過ぎた場合の影響について
- シュウ酸を除去するには!?
- 尿路結石の症状と治療を簡単に説明!
- 赤ちゃん(乳児)への影響はあるのか?!
ほうれん草のシュウ酸は結石の原因になるの?
とても健康に良い緑黄色野菜として知られている「ほうれん草」ですが、ほうれん草には独特のエグ味(ニガ味)があります。
このエグ味の正体は、「シュウ酸」と呼ばれる物質です。
シュウ酸は、体内でカルシウムや鉄分と結合し、
- カルシウム不足を招く
- 結石を作り出す
原因になる物質と言われています。
結石といえば「尿路結石」や「腎結石」などがありますが、シュウ酸が結石となるのは主に「尿路結石」で、排尿時に激痛を伴う怖い病気です。
尿路結石の症状や治療については、ページの最後で紹介しています。
この石はシュウ酸とカルシウムが結びついてできる「シュウ酸カルシウム」という物質で、シュウ酸を多く含む食物である
- ほうれん草
- たけのこ
- 紅茶
などを大量に食べると起こりやすくなると言われています。
具体的にどれくらいの量を摂るとダメなの?
これは毎日1kg食べ続けたらという話になります。
ほうれん草1把がせいぜい250g前後なので、普通に食事で摂取する分にはほぼ問題ないということになります。
しかし、
- 体調不良
- 更年期
- 加齢
などで代謝が落ちると、シュウ酸の排出がうまくいかず、体内に少しずつ残留したシュウ酸がカルシウムと結合して、結石になる可能性があります。
特に50歳を過ぎた男性の場合は、「前立腺肥大症」などから排尿障害を起こすと、尿路にシュウ酸を含んだ尿が残ることで結石化しやすくなるため、十分な注意が必要です。
では次に、「ほうれん草を食べ過ぎた場合、シュウ酸以外に問題はないのか?」という点についても触れておきましょう。
ほうれん草を食べ過ぎると、シュウ酸以外にも問題はある?
どのような食べ物もそれだけを偏向的に大量摂取するのは良くありません。
まず第一に、ここまで説明してきたとおり、ほうれん草にはシュウ酸が含まれているため、食べ過ぎると尿路結石になるリスクが高まります。
また、その他にも鉄分やカルシウムなどのミネラル成分も多く含んでいます。
ミネラルは人が生きていく上で欠かせない物質ですが、元は鉱物であり消化によい成分ではないのです。
このため、ほうれん草を大量に食べた場合は消化器に負担がかかることになります。
さらに一度に大量摂取することでシュウ酸とカルシウムが腸で結石化し、それが大きくなると腸壁を傷つけて消化管出血をおこしたり、または便秘を起こしやすくなります。
そこからさらに排便時に直腸や肛門を傷つけ切れ痔を起こし、それが再発を繰り返すといぼ痔や痔瘻ができやすくなってしまいます。
この様にいくら健康に良いほうれん草だからと言って、それだけを大量に食べるというのは健康上望ましくありません。
なお、尿路結石にかかったことのある方は、「ほうれん草を食べて良いか?」を念のため医師に確認しておきましょう。
ほうれん草のシュウ酸を取り除くには?!
シュウ酸は、ほうれん草の「エグ味」の成分です。
ほうれん草のエグ味を取るには、下茹でをしたら良いというのは一般的に知られていることだとは思います。
ほうれん草に含まれているシュウ酸は「水溶性の物質」なので、下茹ですることで茹で汁の中にシュウ酸が溶け出します。
そのため、これが最も一般的なシュウ酸の除去方法になります。
またシュウ酸はカルシウムと結合しやすい性質があります。
ほうれん草そのものがカルシウム含有量が多い植物なので、多くの場合は、小腸でカルシウムとシュウ酸とが結合して、便として排泄されていきます。
そのため、ほうれん草を食べる時は、チーズやヨーグルトなどの乳製品も一緒に食べると良いでしょう。
ただし繰り返しになりますが、ほうれん草を普通に食べただけで尿路結石になりやすいとは言い難いので、それほど神経質になることはありません。
一日100gのほうれん草を食べる程度なら、毎日食べても健康被害となることはないでしょう。
また水溶性のシュウ酸は通常尿として排泄されますので、水分補給をしっかりと行って排尿の状態を健全に保っていれば、まず尿路結石になることはないとされています。
問題は50歳以上の男性で、前立腺肥大症の傾向が見られる場合です。
おしっこの出が悪くなったと感じたら、できるだけ早く泌尿器科に相談する様にしてください。
前立腺肥大症は年齢とともにかかる可能性が上がり、65歳以上の高齢者は7割以上の人がかかる病気といわれています。
では続いて
「ほうれん草が赤ちゃんへもたらす影響」について触れておきましょう。
ほうれん草がもたらす赤ちゃんへの影響とは?
離乳食としてほうれん草をペースト状にしたものが売られていたりと、一般的にはほうれん草は安全性の高い野菜というイメージがあります。
日本で流通しているほうれん草はほとんどが国内産です。
そのため赤ちゃんの離乳食のおかゆに、ほうれん草を混ぜて与えてきたお母さんも多いのではないでしょうか?
まず第一に、離乳食として与える場合にも下ゆでをしっかりと行い、エグ味(シュウ酸)やアクを取り除いてから調理するようにしてください。
それ以外の注意点として、近年、住友化学が製造している「クロチアニジン」という農薬の残留基準を、厚生労働省が大幅に規制緩和しました。
最大で従来の基準値の2000倍もの残留濃度で散布されたものが、スーパーに並んでいる可能性もあります。
この農薬は比較的人体への毒性が低いということで規制緩和されたものなのですが、妊婦さんや赤ちゃんが食べることには抵抗を感じる人も少なくないでしょう。
そこで、赤ちゃんの離乳食として安心して与えることができる「ほうれん草」の選び方を紹介しましょう。
@冷凍ほうれん草は選ばない
食べやすい大きさにカットされていて、冷凍のまま使えるため非常に便利な冷凍ほうれん草が販売されています。
これは残留農薬が多いタイプが原料となっている可能性があるため、できれば避けた方が良いでしょう。
A生産者の顔が見える野菜を選ぶ
最近スーパーでは農協に加盟しないで独自の販路で小売店と契約し、より安全性の高い野菜を売るところが増えてきました。
道の駅やスーパーの直売コーナーなどがそれです。
この場合、生産者の顔写真や名前が掲載されているところでは、残留農薬を減らした減農薬野菜を売っていることが多いので、それを確認した上で購入すると良いでしょう。
B低農薬、無農薬の表示を選ぶ
厚労省では規制緩和した「クロチアニジン」でも、大きな健康被害はないとアナウンスしています。
しかし赤ちゃんの場合は未知数ですので、安全には細心の注意を払いたいところですね。
では最後に
「尿路結石症の症状と治療法」について説明しておきましょう。
尿路結石症の症状と治療法について!
最後に、当ページで繰り返し出てくる「尿路結石」について、簡単にまとめました。
参考までにご覧下さい。
尿路結石症とは?症状について
尿路結石症は、日本人男性の11人に1人はかかると言われている非常に発症率の高い病気です。
腎臓から尿管(腎臓と膀胱を結ぶ管)にできる「上部尿路結石症」が全体の95%以上を占めていると言われています。
この石が大きくなると、管の内壁を刺激し非常に強い痛みを伴います。
その痛みは人が経験する中でも最も強いもので、出産、尿管結石、群発型頭痛は三大激痛症とも呼ばれています。
尿路結石症の治療は?
この病気の治療は泌尿器科で行われます。
画像診断(腹部エコー)などで石の大きさを確認し、小さい結石の場合は、水分を多めに取り自然排石するのを待つ「保存的治療法」が選択されます。
自然排石が期待できないほどの大きな石の場合は、以下のような治療が行われます。
ESWL(体外衝撃波結石破砕術)
1泊2日の入院で行われる処置です。
現在ではこのESWLが、上部尿路結石症治療の第一選択肢になっています。
経尿道的結石除去術
尿道からカテーテルを挿入し石を破壊する処置です。
主に下部尿路結石症の際に行われます。
この手術では2泊3日程度の入院が必要となります。
経皮的結石除去術
下腹部に数か所穴を開けてカテーテルを挿入し、結石を破壊して取り除く方法です。
数日間の入院が必要となります。
さいごに!
いかがでしたでしょうか?
栄養価や期待される効能については「ほうれん草の保存は冷凍保存が良い?賞味期限と栄養価・効果効能!」でまとめていますので、合わせてご確認ください。
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