ゲンゴロウの種類は4000!?幼虫、飼育と餌、タガメとの違い【まとめ】
こんにちは。
山奥の実家で20年、多くの虫と暮らしてきたアキラです。
タガメと同様に「水棲昆虫」であるゲンゴロウ。
幼虫と成虫で、見た目が全くことなるのが特徴的です。
このページでは、
ゲンゴロウの種類はどれくらいいるのか?
幼虫にはどんな特徴があるのか?
飼育方法や餌はどうするのか?
などなど、ゲンゴロウについて色々とまとめてみました!
- ゲンゴロウの種類は4000種?!
- 幼虫の特徴について!
- 飼育道具の理想は8つ!
- 餌の種類と、与える頻度!
- 水質について!
- タガメとの違いは?
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ゲンゴロウの種類について!
ゲンゴロウは
昆虫網 甲虫目 オサムシ上科
に属する「水棲昆虫」全般を指す言葉です。
「オサムシ上科」のグループは複数あり、科をまたいで多くの水棲昆虫を指しますので、厳密には1種類ではありません。
世界には4000種を超えるゲンゴロウ類が生息していると言われていますが、日本に生息しているゲンゴロウは今までに37属130種類が確認されています。
ではここから、
日本に生息している「代表的なゲンゴロウ」を4種類紹介しましょう!
特徴と大きさ!
「ゲンゴロウ」という場合、多くはこの「ナミゲンゴロウ」を指して言います。
地域によっては
- タダゲンゴロウ
- ホンゲンゴロウ
と呼ばれることもあります。
4p前後と、「日本に生息するゲンゴロウ」の中で最も大きい種類。
目がクリクリしてかわいいイメージがあります。
生息域は?
生息地域は、
- 北海道
- 本州
- 四国
- 九州
- 西表
であり、日本にいるゲンゴロウの中でも最も幅広い生息域となっています。
そのため良く知られている姿のゲンゴロウも、この種類です。
ただし他の多くのゲンゴロウと同様に、現在「環境省のレッドデータリスト」に掲載されており、絶滅危惧U類に指定されています。
※絶滅危惧U類…絶滅の危険が増大している種
東京では絶滅が確認されている種類で、急速に数を減らし深刻な事態となっています。
特徴と大きさ!
「ナミゲンゴロウ」をそのまま小さくしたかのような、そっくりな特徴を持っている種類です。
体長は3p前後であり、オスメスでの違いはありません。
良く似た「ナミゲンゴロウ」や「マルコガタノゲンゴロウ」と比べると、目が大きいのが特徴です。
また「マルコガタノゲンゴロウ」よりも、少々細身の体形となっています。
性格的には、ナミゲンゴロウよりも少々臆病な面があり、飼育下では環境に馴染むまで隠れている場合があります。
生息域!
本州、四国、九州、南西諸島に生息が確認されています。
しかしレッドデータでは希少種であり、こちらも絶滅危惧U類に指定されています。
※絶滅危惧U類…絶滅の危険が増大している種
本来の生息地域は
- 本州
- 四国
- 九州
- 南西諸島
です。
暖かい地域を好むため、南にいくに従って数を増し、南方の虫だと言われています。
しかし現在は、本州ではほとんど見ることは叶いません。
かろうじて新潟県、鹿児島県、南西諸島あたりではまだ見ることができる可能性はあるようです。
とは言ってもたくさん生息しているわけではなく、どこに行っても貴重な種類となっています。
水質にデリケートで、平野部に生息していた本種は
- 生活排水
- 農薬
などによる「環境の激変」により、そのほとんどが滅んでしまいました。
現在、生き残りが確認されたこの三か所が、本種の最後の生息地域となっているようです。
特徴と大きさ!
コガタノゲンゴロウと同様に、ナミゲンゴロウをそのまま小さくしたような見た目の種類です。
体長は2.5p前後、オスメスでの違いはありません。
ナミゲンゴロウと見比べると「腹部の明るいオレンジ色」が鮮やかで美しく、背中の緑色も明るい色で、他の種類よりも「鑑賞に適した美しさ」があります。
実際に「ゲンゴロウ飼育を好む人」の中では特別に人気があります。
生息域は?
本州、四国、九州に生息していますが、自然下ではもうほとんど見ることができないと言われています。
レッドデータでは絶滅危惧TA類に指定されています。
※絶滅危惧TA類…ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
現在飼育されている本種は、そのほとんどが飼育下で繁殖したものです。
特徴と大きさ!
「クロゲン」と呼ばれるゲンゴロウです。
ナミゲンゴロウとは似ておらず、頭部はやや緑みがありますが、腹部も足も背中も色味が弱く、全身真っ黒なのが特徴です。
体長は2.5p前後。オスメスでの違いはありません。
昔は「公園の池」にも生息していた種類でもあるため、子供の頃採集した人も多くいます。
しかし現在は「準絶滅危惧種」に指定されています。
※準絶滅危惧種…現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
ちなみにナミゲンゴロウが「クロゲン」と呼ばれる場合もありますが、こちらとは種類が違い、民間で呼ばれる愛称のようなものとなります。
「ナミゲンゴロウよりも、1か月ほど早く繁殖行動を開始する」のが特徴的です。
生息域は?
本州、四国、九州に生息しています。
しかしその姿を確認することはほとんどできません。
低山地や平地の沼、池、川などに住んでおり、ゆるやかな流れを好んで住み着きます。
ゲンゴロウはどの種類もほぼ絶滅の危機に瀕しています。
各種類の状況は、レッドデータ検索システムで把握する事も出来ますよ。
「ゲンゴロウの幼虫」3つの特徴!
ゲンゴロウと言えば、幼虫と成虫とでは見た目が全くことなる生き物。
そこでここからは、ゲンゴロウの幼虫について3つに分けて説明しましょう!
ゲンゴロウの幼虫は成虫とは異なり、ヤゴのような「肉食昆虫の形」をしています。
成虫が4p前後に対して、幼虫は倍近くの6〜8pと大きい体格をしています。
幼虫は「自分よりも大きな獲物」でも襲うことがある、獰猛な肉食昆虫です。
狙った獲物に静かに近づき、自分の射程圏内に入ると一気に飛びついて捕えるという方法で狩りを行います。
ナミゲンゴロウ幼虫
— しじみ牙蟲 (@hydrotusk) 2016年7月31日
捕食成功動画 pic.twitter.com/jiycx6JdEB
獲物を捕獲すると、アゴから「針のような細い管」を出して、毒と消化液を注入。
消化液によって、獲物は「体の組織」が壊れていくため、それを体へと吸収し栄養とします※。
※これを体外消化と言います
狩りの時に消化液と一緒に出される毒は、人間にとっても猛毒です。
皮膚から注入されると激痛に襲われ、注入された部分の細胞が壊死する可能性があります。
最悪の場合、蜂窩織炎(蜂巣炎)を発症して、広範囲で細胞を壊死させる「化膿性炎症」を起こす場合もあります。
そのため、飼育中でも素手で触らないように注意が必要です。
もし採集したい個体を見つけたら、装備を厳重にして捕獲しましょう。
飼育に必要となるもの【理想は8つ】
ゲンゴロウは「熱帯魚飼育のための道具」を使用すれば、飼育することができます。
水槽やフィルタを使用し、砂利をひいて、小さな陸場を作ってあげましょう。
- 水槽
- フタ
- 浮き島・浮き草
- フィルタ
- エアレーション
- 床材
- 植物
- 証明
これから説明していく「必要な用品」をすべて入れるとなると、水槽であれば45p以上が必要となり、理想的な大きさとしては60pほどです。
【最低45cmあれば良い】
この程度の大きさになれば自由度も増しますが、かなりの重さとなるため、水槽専用の台を必ず設置して置いてください。
なお、水は少ないほどすぐ汚れやすいため、「小さい入れ物」ほど手間がかかり飼育は難しくなります。
特にエサが特殊で汚れやすい飼育環境となるため、こうした点に気をつけ「適度に手間を省く」ことで、楽しく飼育できるでしょう。
ゲンゴロウはあくまで昆虫であり、ゴキブリやカブトムシと同じ甲虫であるため、飛ぶことができます。
夜は電灯に集まることもあるほど、「夜間の飛翔」も習性として残っていますので、飼育ケースや水槽には必ずフタをしてください。
また、浮草や浮島、電気コード類を伝って脱走することも視野に入れておきましょう。
ガラスフタの他、上部を網で覆うのも良い方法です。
ゲンゴロウ特有の「甲羅干し」を行う際に陸場を必要とするため、陸場の代わりとなるものを作りましょう。
一番良いのは、「ホテイアオイ」などの浮草類を浮かべておくことです。
もし広さに余裕があるなら、子カメ用の浮島でも良いでしょう。
フィルタとは「濾過機(ろかき)」のことを言います。
これは酸素供給のためではなく、水質維持のために入れておくべきものです。
エサが水を汚すものとなるため、必需品と言っても良いでしょう。
フィルタを入れれば飼育者の負担が軽くなるので、楽に管理出来ます。
いわゆる「ぶくぶく」です。
エアレーション付きのフィルタもありますが、エアレーションのみでも入れた方が良いでしょう。
これはゲンゴロウのためではなく、「水中の細菌類」に酸素供給をすることで活性化され、それらが見えない汚れを食べてくれるため、水質安定につながるからです。
また、植物たちは光が消えて「夜」だと判断すると、光合成をやめて「酸素」を取り入れ呼吸を始めます。
水中の細菌類のため、そして植物のため、エアレーションはあった方が良いとされています。
床材は「川砂」や「珪砂」の上に、「ソイル」を敷いておきましょう。
植物を植えるなら4p程度敷いておくと、根を張りやすくなります。
量が少ないと植物が浮いてきてしまいますので、気をつけましょう。
「抽水植物」を入れておくと、より自然に近くなって飼育環境が良くなります。
ゲンゴロウのストレスも減少しますので、水草類を植えておき、「川や池の環境」に近づけてあげましょう。
販売されている抽水植物の中では、
- カボンバ
- アナカリス
- マツモ
が管理しやすい植物ですが、しっかり植えつけておかなければ、植物自体が腐って水を汚すことになります。
植物も生きていますので、同じように管理しましょう。
ゲンゴロウにとって、そして飼育環境においては、照明器具はあった方が良いとされています。
- 生き物は「昼夜の生活サイクル」を狂わせると不調になるため、ゲンゴロウと植物の「昼」と「夜」をはっきりさせるために使用する
- 太陽光はコケが大量発生する原因となるため、明かりだけが必要なら照明器具で充分機能する
- 照明器具は太陽光よりも熱を発しないため、水温の変化がなく、体調に影響しない
- 以上のデメリットを排除したうえで、植物の光合成には光が必要であるため
熱帯魚の飼育も「照明器具」を使用しますが、同じものを使用して良く、LEDでも蛍光灯式でも可能です。
LEDのほうが重宝されていますが、これには
- LEDの光は昆虫の目には見えないため、走光性のあるゲンゴロウの飛翔原因とならないこと
- 使用電力量が少なくエコであること
- 熱を発しないので水温を上げないこと
という3つの理由が挙げられます。
エサの種類や与える頻度について
ここからは、与える餌の内容、そして頻度について説明していきます。
どんなものを食べるの?
ゲンゴロウは幼虫期から死ぬまで、一生「肉食」で過ごします。
自然下では
- ミミズ
- 水に落ちてきた昆虫
- 弱った魚
- 魚の死体
などを食べています。
しかし、成虫となった場合は「生きている魚」を積極的に襲うようなことは滅多にありません。
※幼虫は生きた魚でも食いつきます
特に「弱ったドジョウや小魚」を好んで食べる習性があります。
飼育で与える場合は?
飼育する場合は、ゲンゴロウの成長ステージに合わせて、
- オタマジャクシ
- 小赤
- ミミズ
など、サイズに合わせて選んであげましょう。
人口餌である「ニボシ」も与えれば食べますが、生きている状態ではないため、「弱った生き餌」や「アカムシ」ほど食いつきは良くありません。
ゲンゴロウはニオイでエサを探すため、煮干のようなものではなく、できるだけ「生の状態」に近いものを食べたがります。
たとえば「刺身のような生肉」は喜んで食べるのです。
ゲンゴロウは「強靭なアゴ」を備えているため、かじって肉を食べることができますが、柔らかい肉のほうが好んで寄って来るようです。
食べるときはアゴから消化液を出して、「体外消化」をしながら身体に栄養を吸収します。
なお、幼虫の場合もエサはほとんど変わりませんが、より「イキイキとした餌」を好むのは幼虫です。
こんな餌を与えよう!
飼育下でのエサの例を挙げます。
慣れれば人工飼料にも餌付きますので、徐々に慣らしてあげましょう。
人工飼料のほうが水も汚れず、安価のため管理も楽になります。
- 生魚の刺身全般(保存剤に注意)
- ミミズ
- オタマジャクシ
- エサ用のツメガエル
- コオロギ(販売されているものが望ましい)
- メダカや小赤
生き餌は、ミミズ以外は「販売されているもの」のほうがクリーンで安心です。
コオロギ、メダカ、小赤は「エサ用」として別の水槽やケースで飼育しておき、肉食魚用の人工飼料をたくさん与えて「丸々と太らせた状態」にしましょう。
その上でゲンゴロウに与えると、より栄養が摂れます。
※ただし、成虫は多少弱っているものを食べます
刺身は人間の残り物で良いですが、血液が入らないように良く洗ってから与えてください。
- 煮干
- クリル(熱帯魚用乾燥エビ)
- 人工ペレット(肉食魚用)
ペットショップなどで販売されている「冷凍アカムシ」も良いとされていますが、商品によっては昆虫の「成長抑制ホルモン剤」が含まれる場合もあるため、できるだけ避けた方が無難です。
ただし食いつきは良いので、緊急時のみの使用としてください。
また、熱帯魚や貝、エビ類と混泳させる場合は、エサが不足するとそれらをエサだと認識し、襲って食べてしまうことがあります。
そのためにも多くのエサに慣れさせ、どれかは必ず手に入る状態にすることで、供給不足にならないようにしておくと良いでしょう。
どれくらいの頻度で与えればいいの?
ゲンゴロウのエサは、とにかく「水を汚す原因」となるため、毎日でなくても良いとされます。
ゲンゴロウ自体は「1週間エサを与えなくても生きている強靭な身体」を持っていますので、心配はいりません。
よって与える頻度は2〜3日に1回程度が望ましいとされます。
エサの頻度が上がれば同時に水質も落ちていきますので、適度な回数で与えてください。
水質について!
では続いて、ゲンゴロウを飼育する上での「水質」について説明しましょう。
ゲンゴロウはエサが刺身や昆虫など、水を汚しやすい食性となるため、水質は著しく悪化しやすいと考えておきましょう。
飼育下では「水質を保つためのフィルタ」を使用する他、食べ残さないような量を与え、食べないものはすぐに取り出す必要があります。
そして飼育水の一部を、「適度な頻度」で水替えしましょう。
しかし実は、「有機物が多い汚染された環境」でもゲンゴロウ自体は平気で生きているため、水質悪化によりすぐに死んでしまうことは少ない生き物です。
神経質になる必要はありませんが、悪臭の原因となったり水ミミズなどが発生したりする可能性もありますので、注意するに越したことはありません。
なお、ゲンゴロウの成虫であれば、水質が合いさえすれば淡水魚水槽で一緒に飼育することもできます。
水質の安定した水槽に入れれば、汚れも水中の微生物によって分解されるため、混合飼育を楽しむこともできます。
タガメとの違いは?
タガメもゲンゴロウと同じく、「絶滅に瀕している昆虫」の一つです。
パッと見た雰囲気は似ていますが、ゲンゴロウは
甲虫目 オサムシ上科
であり、タガメは
カメムシ目 コオイムシ科
に属しており、「日本最大のカメムシ」と言われています。
タガメの方がゲンゴロウより一回り大きく、
- オス:45-65mm
- メス:55-70mm
くらいの大きさです。(カブトムシくらいの大きさ)
細かい違いとしては、
- タガメは幼虫・成虫ともに生きたものを好むが、ゲンゴロウは幼虫は生きたもの、成虫は死んだもの・弱っているものを好む
- タガメは身体が平たいが、ゲンゴロウはやや丸みを帯びている
- タガメはあまり泳がないが、ゲンゴロウはスイスイ泳ぐ
- タガメはサナギにならないが、ゲンゴロウはサナギになる
などが挙げられます。
タガメについては以下ページでまとめていますので、こちらも合わせてご確認下さい!
>>タガメの生息地と飼育方法!卵を壊す理由や天敵、捕食方法を学ぼう!
さいごに!
ゲンゴロウの種類や生息地、飼育方法などについて説明しました!
タガメと同じく、刺されると細胞が壊死する可能性がありますので、触るときはくれぐれも注意しましょう!
人気の関連ページ!
>>タガメの生息地と飼育方法!卵を壊す理由や天敵、捕食方法を学ぼう!
ちなみにタガメは「カメムシの仲間」。カメムシを知ることも面白い発見に繋がりますよ。
>>カメムシの種類や天敵、寿命、噛むか?飛ぶか?など【生態まとめ】