スローロリスの値段や寿命、8種の違いと飼育方法!【毒を持つ哺乳類】

スローロリスの値段や寿命、8種の違いと飼育方法!【毒を持つ哺乳類】

マッタリした雰囲気がとっても可愛いスローロリス。

 

ペットとしてもとてもマイナーなため、飼い方や種類など、知られてないことも多くあります。

 

このページでは、

 

どんな動物なのか?

どんな種類がいるのか?

飼うために何が必要か?

 

などなどをわかりやすくまとめてみました。

 

目次
  • スローロリスってどんな動物なの?
  • 生息地はどこ?!
  • 種類は8種類??
  • 寿命はどれくらい?
  • 性格もまったりなの?
  • 値段はどれくらい?
  • 飼育するための3つのポイント

 

 

 

 

スローロリスってどんな動物?

スローロリスとは、

 

霊長(サル)目 ロリス科 スローロリス属

 

に分類される動物で、世界で唯一の「毒性霊長類」です。

 

 

見た目の特徴は?

 

スローロリスの特徴といえば

 

  • 丸い頭
  • 平たい顔
  • 湿った鼻
  • クリクリの目
  • 発達した指先

 

などがあげられます。

 

体は全体的にふっくらと丸みを帯びており、首から背中にかけて暗褐色の縦線が1本入っています。

 

体毛はフワフワした羊毛状で密度が高く、小さな耳のほとんどは厚い被毛に覆われています。

 

また、非常につぶらで大きな目を持っているため、まるで「ぬいぐるみ」のような見た目です。

 

大きさは

 

  • 体長:26〜38p(しっぽはほとんどない)
  • 体重:0.4〜2kg

 

です。

 

 

毒がある?!

スローロリスは「肘の内側にあるリンパ節から出した分泌物」を唾液と混ぜることによって、「毒」を作ることができます。

 

研究の結果、この毒は「猫アレルギーの原因物質」によく似ており、動物の体内に入るとアレルギー反応が起こることが分かりました。

 

「スローロリスが生成する毒」は刺激臭があり、ネコ科をはじめとする多くの動物は、スローロリスにほとんど近づきません。

 

しかし、この毒は消化器で簡単に分解されてしまうため、ひっかいたり噛んだりしてできた傷口に直接注入する必要があります

 

「え、ペットで飼うときは大丈夫なの?」と心配なると思いますが、その点は後ほど説明します。

 

 

他の特徴は?

スローロリスは夜行性で、群れを作らず単独で行動します。

 

基本的に「樹上生活」をする動物のため、地上に降りることは滅多にないといってよいでしょう。

 

明るいうちは「樹に空いた穴の中」に体を入れ、頭を前足の間にしっかりと挟んでから体を休めます。

 

体を丸めて眠ることで、頭やお腹などの急所を外敵から守っているのです。

 

なお、天敵としては

 

  • ヘビ
  • タカ
  • オランウータン

 

などスローロリスをそのまま食べてしまう動物と言えるでしょう。

 

 

どこに生息してるの?!

スローロリスの主な生息地は、

 

  • ベトナム
  • フィリピン
  • インドのアッサム地方
  • スールー諸島
  • ジャワ島
  • ボルネオ島

 

などです。

 

「高温多湿な環境」を好むスローロリスにとって、熱帯雨林の多い島は暮らしやすく、非常に快適な場所といえるでしょう。

 

しかし、肉や臓器を伝統医療に使用されたり、ペットとして売るために乱獲されたりすることで、スローロリスの数は年々減少しています。

 

また、一部の地域では「スローロリスは作物を荒らす害獣」として扱われているため、駆除されてしまうこともあります。

 

 

 

スローロリスの種類は8種類?!

スローロリスは「生息地域」や「形態的特徴」によって、いくつかの品種にわけられています。

 

しかし、スローロリスは種類が異なる同士でもよく似た見た目をしているため、識別が非常に難しい動物です。

 

ここでは、「形態的特徴」と「DNA分析」によって、現時点で分かっているスローロリスの品種を8つ紹介します。

 

 

ベンガルスローロリス

 

スローロリスの中でもっとも体が大きい品種です。

 

全体的に灰色っぽい体毛をしており、指先や目、鼻周りなどの毛はやや色素が薄くなっています。

 

目の周りの縁取りも暗灰色で、雰囲気に高級感があって良いと人気の品種です。

 

  • 体長:35〜40p
  • 体重:900〜1500g

    (オスのほうが大きい)

 

 

 

スンダースローロリス(スマトラスローロリス)

 

体毛は薄い茶色とクリーム色で、首周りの毛は灰色がかった色をしています。

 

頭から耳にかけての被毛は茶褐色で、額から目の間には白いラインが通っているのが特徴です。

 

ベンガルスローロリスよりもオスメスの体格差が少なく、流通量も多い品種です。

 

  • 体長:27〜38p
  • 体重:600〜700g

 

 

 

ジャワスローロリス

 

目の周りの縁取りが頬まで伸びているのが特徴で、両目の間には「クリーム色のひし形模様」があります。

 

そのため、他のスローロリスよりも顔のコントラストがはっきりしています。

 

また、耳は房状になっており、暗褐色の被毛で覆われています。

 

  • 体長:不明
  • 体重:不明

 

 

ボルネオスローロリス

 

体毛は赤褐色と茶褐色で、他のスローロリスも被毛よりも長くフワフワです。

 

目の周りの縁取りは「しずく型」をしており、褐色のラインが頭から尾の付け根辺りまで伸びていることもあります。

 

  • 体長:23〜27p
  • 体重:400〜600g

 

 

 

ピグミースローロリス(レッサースローロリス)

 

スローロリスの中でもっとも小さい品種で、日本ではペットとして非常に人気があります。

 

頭から耳にかけての毛はオレンジ色で、黒い耳にはほとんど毛が生えていません。

 

体毛は全体的に茶色っぽく、腹部の被毛はクリーム色です。

 

  • 体長:20〜23p
  • 体重:400g程度

 

 

 

フィリピンスローロリス(ボルネオスローロリスの亜種)

黄色と薄茶色の体毛を持ち、全体的に薄い色合いの見た目をしています。

 

鼻先は長く、目の周りの縁取りは茶色から暗褐色。

 

耳は被毛にしっかりと覆われているため、ほとんど見えません。

 

  • 体長:不明
  • 体重:不明

 

 

 

ヒルズスローロリス(ボルネオスローロリスの亜種)

目の周りの縁取りが、頬骨の辺りまで伸びているのが特徴です。

 

赤茶色の被毛はなめらかで、首周りの毛が焦げたような色をしています。

 

  • 体長:不明
  • 体重:不明

 

 

 

カヤンスローロリス(ボルネオスローロリスの亜種)

茶褐色の被毛を持っており、目の周りの縁取りは顎まで伸びています。

 

他のスローロリスよりも鼻先が長く、フワフワした毛で覆われています。

 

  • 体長:不明
  • 体重:不明

 

 

寿命はどれくらいなの?

スローロリスの寿命は

 

  • 野生下で20〜25年
  • 飼育下では10〜15年

 

程度です。

 

一般的に野生動物は「人が管理することで寿命が伸びる」傾向にありますが、スローロリスの場合は違っています。

 

スローロリスは非常に臆病でデリケートな性格をしているため、飼育下ではストレスにとって病気にかかりやすいのです。

 

また、ペットとして流通しているスローロリスの多くは、人を噛んで傷つけないようあらかじめ「犬歯」を抜かれています

 

犬歯を抜かれた部分は「細菌感染」を起こしやすく、一度でも感染症にかかったスローロリスは約90%もの確率で命を落とします

 

そのため、スローロリスをペットとして飼育する際には、飼育環境をしっかりと整えることが非常に大切です。

 

 

 

性格はおとなしいの?

スローロリスは動きが遅いため、「のんびりした性格」と思われがち。

 

しかし、実はスローロリスは「些細な環境の変化でも大きなストレスを感じ、体調を崩すほど繊細な性格」をしているのです。

 

スローロリスはデリケートな性格で、急に触ったり、上から手を降ろしたりすると、途端に恐怖を感じてしまいます。

 

ちなみに、スローロリスの鳴き声には以下の3種類があります。

 

  1. チッチッ(甘えたい・遊んでほしい)
  2. グゥーグゥー(不安・怖い)
  3. ウー(怒っている・不満がある)

 

ただし、本来スローロリスは群れを作らず1匹で行動する動物ため、鳴き声を出すことはあまり多くありません。

 

 

値段(価格)はどれくらい?

スローロリスの値段は60〜80万円で、状態の良い個体やベビーでは100万円以上することもあります。

 

スローロリスは「絶滅危惧種」に指定されているため、海外から輸入することはできません。

 

つまり、現在日本でペットとして流通しているのは、「ブリーダーや個人の手によって繁殖されたスローロリス」のみだということです。

 

スローロリスは非常に希少価値が高い動物で、一般的なペットショップではまず取り扱っていません。

 

スローロリスを飼う際には、エキゾチックアニマル専門店かブリーダーへ直接問い合わせる必要があるでしょう。

 

 

 

飼い方の3つのポイント!

スローロリスは飼育している人が少なく、飼育方法に関する情報があまりありません。

 

しかし、不適切な環境でスローロリスを飼ってしまうと、肥満やカルシウム不足など様々な問題が起こるようになります。

 

スローロリスをペットとして飼う場合には、必ず購入先のショップで「適切な飼育方法」を確認しておきましょう。

 

 

1.飼育環境を整える!

まずは飼育する上での環境を整えてあげましょう。

 

 

室温は28℃前後、湿度は50%以上をキープ

「熱帯雨林」を主な生息地とするスローロリスは、「高温多湿の環境」を好みます。

 

スローロリスのケージを置く部屋には加湿器を準備し、エアコンなどで室温を調整しましょう。

 

ただし湿度が高くなるとケージ内のあらゆるものがカビてしまい、スローロリスの体に良くありません

 

ケージは定期的に掃除をし、食べ残されたエサは長い間放っておかないようにしましょう。

 

 

 

ケージはできるだけ静かな場所に置く

スローロリスは非常に繊細な性格のため、騒がしい場所ではすぐにストレスをためてしまいます。

 

外の音が聞こえやすい窓辺や人の出入りが多い場所など、スローロリスが安心して休めない場所にケージを置くのは避けましょう。

 

また、床に直接ケージを置くと、歩く際の振動や響きがスローロリスに伝わりやすくなってしまいます。

 

スローロリスのケージは「できるだけ静か」かつ「床からの高さがある程度ある場所」に置くようにして下さい。

 

 

2.飼育に必要なもの!

続いては、飼育する上で必要なものを4つ挙げます。

 

 

ケージ

スローロリスはペットとして飼育している人が少ないため、専用のケージはありません。

 

そのため、スローロリスを飼う際は、猫やオウムなど「他の動物専用のケージ」で代用しましょう。

 

理想的なケージの大きさは45〜50平方センチのもので、高さは90p以上あるものがベスト。

 

隙間から手を伸ばしてカギを開けられないよう、網目が細かいものを選ぶと良いでしょう。

 

日中はケージに布をかぶせて、光が入らないようにしてあげて下さい。

 

 

 

 

巣箱

スローロリスが安心して休める場所として、巣箱を用意しましょう。

 

野生のスローロリスは「樹の洞(樹にあいた洞窟状の穴)」を巣穴として利用します。

 

できるだけ自然に近い状態で飼育できるよう、巣箱の素材は木製のものがおすすめです。

 

ピグミースローロリスのように小さいスローロリスには、リスやモモンガ用の巣箱がおすすめ。

 

リスやモモンガ用の巣箱は高い位置に設置することができるため、より自然に近くなります。

 

気温の下がる冬には、保温性のある布製ハンモックやタオルなどを入れても良いでしょう。

 

 

 

 

登り木

スローロリスがケージ内を自由に動き回れるように、小鳥や爬虫類用の登り木を設置しましょう。

 

登り木があるとスローロリスはよく動くため、運動不足やストレス解消にも役立ちます。

 

登り木を選ぶ時は、スローロリスの安全を考えて「ある程度の強度と長さがあるもの」を選んで下さい。

 

また、

 

  • 農薬が使われていないかどうか?
  • 消毒は済んでいるかどうか?

 

も重要なポイントです。

 

 

 

ペット用ヒーター

スローロリスは体温を調節する機能が低いため、冬場はペット用のヒーターが必要になります。

 

ペット用のヒーターには様々な種類がありますが、スローロリスの飼育に最適なのは爬虫類用のヒーターです。

 

爬虫類用のヒーターはケージの裏側に設置できるため、スローロリスのいたずらを防止することができます。

 

エアコンを1年中24時間つけていられる場合は必要ありませんが、冬場は一応備えておくと安心です。

 

 

 

 

3.食事の内容!

スローロリスは雑食性で、自然界では昆虫や木の実、樹液など様々なものを食べて暮らしています。

 

飼育下では、以下のような食べ物をバランスよく与えましょう。

 

  • りんご
  • バナナ
  • いちご
  • コオロギ
  • ミルワーム
  • ヨーグルト
  • チーズ
  • モンキーフード
  • ドッグフード
  • ナッツ類

 

基本的には爬虫類ショップなどで売られている「コオロギ」をメインに与え、果物は副食として与えて下さい。

 

また、スローロリスは代謝が遅く、食べ物を消化吸収するのに多くの時間がかかる動物です。

 

エサの回数は1日1回で、スローロリスが活動を始める夕方から夜の間に与えましょう。

 

水はウサギやハムスター用などの給水器に入れ、毎日新鮮なものに取り替えて下さいね。

 

 

 

 

さいごに!

まったり感が非常に可愛いスローロリス。

 

ほかのペットと比べストレスに弱い点などを考えると、飼うのはやや難しい面もあります。

 

ですが、それ以上の「癒し」を与えてくれるため、検討されている方は、専門店でしっかりと話を聞いた上で購入しましょう。