ヤマアラシの針が超ヤバイ!交尾できる?飼育は可能?【巨大なハリネズミ】
「強力な針」に覆われたヤマアラシ。
このページでは、そんなヤマアラシについて、
針って何で出来てるの?
ハリネズミの仲間なの?
ペットにできるの?
などなど、ヤマアラシのあれこれをわかりやすく説明していきます。
ヤマアラシってどんな動物?大きさは?
ヤマアラシは、
ネズミ目 ヤマアラシ科
もしくは
ネズミ目 アメリカヤマアラシ科
に分類される草食性のげっ歯類です。
野生のヤマアラシは基本的に「単独行動」をしており、群れを作ることはありません。
夜になると穀物や果実などのエサを探しにいき、昼間は「岩陰や地面に掘った巣穴」で体を休めています。
ちなみに、良く似ている「ハリネズミ」はモグラ目の生物なので、ヤマアラシとは全く別の生物です。
大きさは?
ヤマアラシの大きさは
- 体長:60〜90p(+しっぽ20〜25p)
- 体重:5.4〜16.2kg
で、種類や個体によってかなりのばらつきがあります。
また、ヤマアラシの背中には長く鋭い針が何本も生えており、この針を使うことで外敵から身を守っています。
この針は最長30cmにもなりますので、パッと見の体長はもっと大きく見えます。
「ヤマアラシの針」の数は3万本?!
ヤマアラシのもっとも大きな特徴は、「背中全体に生えた針」です。
ヤマアラシの「背中」から「お尻」には針がびっしりと覆うように生えており、その本数はなんと約3万本以上!
針の長さは10〜30pにもなり、ヤマアラシがこどもの頃から硬く鋭く尖っています。
ハリネズミやハリモグラなど、「体に針を持つ動物」は他にもいますが、基本的にこれらの動物は「臆病な気質」を持っています。
そのため、外敵から身を守る際には「針を立てた状態で体を丸める」などの防御体勢を取ることが多いとされているのです。
それに対し、「外敵に対し気性が荒い」動物であるヤマアラシは、むしろ積極的に「針を使った攻撃」を外敵にしかけようとします。
攻撃態勢に入ったヤマアラシは「毛穴に結合した筋肉」を収縮させ、背中の針を一気に逆立てます。
そして相手をその場から追い出すために、背中の針をバサバサと大きく揺らしながら、後ろ向きに突進していくのです。
そんなヤマアラシにちょっかい掛けると…
ヤマアラシの針は何でできている?
ヤマアラシの針は「ケラチン」という「タンパク質」からできており、ツメや体毛と同じ成分を持っています。
もともとヤマアラシの針は「何本もの体毛が合わさって硬化したもの」であり、毛のように定期的に生え変わります。
針の先端部はするどく尖っており、ザラザラとした無数の突起物が表面を覆っています。
この突起は釣り針にある「返し」のような役割を持っていて、一度刺さると簡単に抜くことはできません。
さらにこの針はとても強度が高く、ゴム製の長靴程度であれば簡単に貫くことができます。
ちなみに、ヤマアラシの針の色は「白と黒のまだら模様」ですが、これは野生動物にとって「警戒色」を表します。
ハチの体色である「黄色と黒のボーダー」が注意を引くように、ヤマアラシの針も周囲に対し色で警告を示しているのですね。
「ハリネズミの針」とは何が違うの?
ヤマアラシとハリネズミの針は、どちらも「ケラチン」から作られています。
そのため、
- 硬化した体毛が何本も合わさってできている点
- 毛周期がある点
もまったく同じです。
ただし、
- ヤマアラシは攻撃のために針を使う
- ハリネズミは主に防御のために針を立てる
という違いがあります。
ハリネズミの場合、針が無くなれば自分の身が危険にさらされてしまうため、「外敵に刺さった針」が抜け落ちるようなことは滅多にないのです。
対してヤマアラシの針は、敵に刺さると簡単に抜け落ちるしくみになっており、ヤマアラシの体に残ることはありません。
また、ハリネズミの針は刺さってもチクチクした痛みがあるだけですが、ヤマアラシの針が刺さった場合はとても危険です。
上で挙げた画像のように、ゴム製の長靴程度であれば簡単に貫きます。
さらにヤマアラシの針には、
- 発症するとほぼ確実に命を落とす「狂犬病」のウイルス
- 様々な感染症の原因菌
が付着していることもあります。
構造的には同じヤマアラシとハリネズミの針ですが、使い方や危険度は大きく異なるといえるでしょう。
ヤマアラシの天敵は?
ヤマアラシの主な天敵は、ニシキヘビのような「大型のヘビ」です。
ニシキヘビのように大型のヘビは、針ごと丸呑みすることでヤマアラシを食べることができます。
まれに飲み込んだヤマアラシを吐き出そうとして、針が内臓に突き刺さり命を落とすヘビもいますが、大抵は胃液によって消化されます。
※丸呑みした時に全体的に刺さってしまったヘビ
ヤマアラシの天敵として他によく知られている動物は、
- ピューマ
- コヨーテ
- オオカミ
- ライオン
- ヒョウ
などで、基本的にはヤマアラシの「針が生えていない頭部や腹部」を狙って攻撃を仕掛けてきます。
ヤマアラシは「背中の針」でしか相手を攻撃できないため、弱点を狙われたり、複数で襲われたりすると対抗できません。
そのため、ライオンのように「群れを作る動物」に襲われた場合は、近くにいるヤマアラシ同士で「頭を合わせて針だけを晒す」姿勢をとることも。
普段は単独で行動しているヤマアラシですが、いざという時には仲間同士で協力し合って身を守るのです。
ヤマアラシは性行為(交尾)できるの?
危険な背中をもっているヤマアラシ、「交尾できないのでは?」と疑問に思う方も多いでしょう。
でも大丈夫、問題なく交尾できます。
ヤマアラシは「季節繁殖動物」のため、毎年秋頃になると「発情期」に入ります。
発情期に入ったメスは、オスの側でじっと動かなくなり、その間は食事も取らなくなります。
相手を選ぶのはメスの役割で、オスはメスの周りをうろうろしたり、性器を突出させたりして、メスにアピールします。
メスがその場から動かなければマッチング成功で、オスは「陶酔作用(気持ちよく酔うこと)」のある自分の尿を、メスに振りかけます。
その後、オスのヤマアラシは後ろ足と尾で体を支え直立し、四つん這いになったメスと交尾をするのです。
交尾中は覆いかぶさるような格好になりますが、メスの針は伏せた状態になっているため、オスに刺さることはありません。
また、ヤマアラシの針は生殖器周辺には生えておらず、「背中の針」さえ寝かせておけば怪我をすることはないのです。
【安佐動物公園で撮影された交尾】
実はヤマアラシは飼育できる!
野生では気性の荒いヤマアラシですが、実はペットとして飼育するとよくなつく動物でもあります。
「動物園などで飼育されているヤマアラシ」の中には、犬のように首や耳などを撫でると喜んだり、人の後を付いて回ったりする個体も。
ハムスターのように「手を使って食事をする」など、げっ歯類らしいかわいい一面もみることができます。
ただし、ヤマアラシは大きい個体で1m近くまで成長するため、飼育する際はできるだけ広いスペースを確保しておかなければいけません。
また、体調を崩した時にすぐ診てもらえるよう、エキゾチックアニマル専門の動物病院を見つけておく必要もあります。
そのため「飼育は出来るが簡単では無い」と言えます。
ヤマアラシのエサは?
ヤマアラシは草食性のため、
- 植物
⇒木の根、葉、芽、種子)
- 野菜
⇒サツマイモ、にんじん、キャベツ、白菜、青菜
などをエサとして与えます。
動物園ではこれらの食材に、ドッグフードを混ぜて与えることもあります。
また、エサと一緒に「樫の木」や「丸太」などをかじり木として与えてやると、ヤマアラシは喜んでかじります。
あまり知られていませんが、実はヤマアラシはハムスターのように「物をかじる習性」があるのです。
ヤマアラシの歯は非常に頑丈で、金属製の扉に穴を開けるほど強い強度を持っています。
ヤマアラシのストレス解消のためにも、かじり木は必要不可欠なアイテムといえるでしょう。
ヤマアラシの寿命はどれくらい?
種類によっても異なりますが、ヤマアラシの寿命は
- 野生:5〜12年
- 飼育下:15〜20年
程度とされています。
日本に流通しているヤマアラシのほとんどは「ヤングアダルト」か「アダルト」であり、1〜2歳の個体はほとんど出回りません。
ヤマアラシはよくなつく個体が多いため、「アダルトから飼育しても問題なく飼うことができる」といわれています。
ヤマアラシはどこで買える?
ヤマアラシを飼いたい場合は、
- エキゾチックアニマル専門店
- インターネット
を通じて取り扱い業者に連絡をとりましょう。
ヤマアラシは約50万円前後で売られており、エキゾチックアニマルとしては平均的な価格です。
危険じゃない?本当に飼える?
刺さると非常に危険な針を持つヤマアラシですが、環境省が指定している「特定動物リスト」には入っていません。
特定動物とは「人に危害を加える恐れのある危険な動物」のことで、カミツキガメやワニなど約650種の動物が指定されています。
現在ヤマアラシは特定動物に指定されていないため、市区町村などに飼育の届け出を出す必要はありません。
なお、飼育する上では「針はかなり危険」なので、当然全て抜かれます。
もちろん針を取り除ききれてないと、残った針が刺さるため大変危険ではあります。
さいごに!
ヤマアラシの針の仕組みや、ハリネズミとの違い、交尾などについて説明しました。
ヤマアラシはペットとして飼うことが出来ますが、ほかにもユニークで可愛いペットは色々いますよ。
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