衝撃!卵と産む哺乳類「ハリモグラ」と「ハリネズミ」の11の違い!
ハリネズミと非常に似ている「ハリモグラ」。
ですが実は「ハリネズミ」でもなければ、「モグラ」でもありません。
ここでは、
- 「ハリモグラ」と「ハリネズミ」の違いは何か?
- ハリモグラは飼育できるのか?
などなど、「ハリモグラ」のことを中心に、生態についてハリネズミとも比較しながら説明していきます。
- ハリモグラとハリネズミには「11の違い」がある!
- 「動物種」の違い!
- 「大きさ」の違い
- 「針」の違い
- 「吻(ふん)」の違い
- 「舌」の違い
- 「指・ツメ」の違い
- 「出産方法」の違い!
- 「生息地」の違い
- 「食性」の違い
- 「寿命」の違い!
- 「行動時間」の違い
- 実は飼える!ハリモグラの飼育方法!
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ハリモグラとハリネズミには「11の違い」がある!
ハリモグラとハリネズミはどちらも背中に針を持っており、名前もよく似ています。
【ハリモグラ】
【ハリネズミ】
しかし実はこの2種には数多くの違いがあり、「生物学」の分類上でもまったく異なる動物です。
ここではハリモグラとハリネズミの特徴を、それぞれ項目ごとに分けて説明していきます。
1.「動物種」の違い!
ハリモグラとハリネズミはどちらも哺乳類ですが、
- ハリモグラは「単孔類」
- ハリネズミは「有胎盤類」
です。
哺乳類には「単孔類・有袋類・有胎盤類」の3種類があり、これらは「胎盤の状態」によって分類されています。
- 単孔類:胎盤を持たない
- 有袋類:胎盤はあるが不完全
- 有胎盤類:完全な胎盤を持っている
このうち哺乳類のほとんどは有胎盤類であり、単孔類の哺乳類は
- カモノハシ
- ハリモグラ
だけです。
【カモノハシ】
この2つの動物は「最古の哺乳類」と呼ばれており、1億年以上前から形態がほとんど変わっていません。
単孔類であるハリモグラのもっとも大きな特徴は、「排出腔」がひとつにまとまっていることです。
これはつまり、ハリモグラは「鳥類や爬虫類のように糞・尿・卵をすべて同じ穴から排出する」ということ。
体温が27〜33℃と低いのも単孔類の特徴のひとつで、口は細長くとがっています。
- ハリモグラ
⇒カモノハシ目 ハリモグラ科(単孔類)
- ハリネズミ
⇒ハリネズミ目 ハリネズミ科(有胎盤類)
- モグラ※予備知識として
⇒トガリネズミ形目 モグラ科(有胎盤類)
2.「大きさ」の違い
ハリモグラとハリネズミの体重には、10倍近くの差があります。
ハリモグラのサイズ
- 体長:30〜45p
- 体重:2.5〜7kg
(ミツユビハリモグラの場合)
- 体長:45〜78p
- 体重:5〜15kg
ハリネズミのサイズ
- 体長:17〜24p
- 体重:200〜700g
ハリネズミは成長しても「大人が片手で持てるほどの大きさ」ですが、ハリモグラは両手で持つ必要があるでしょう。
ちなみにハリモグラには「ミツユビハリモグラ」という種類が存在しますが、こちらは通常のハリモグラよりも大型の品種です。
ミツユビハリモグラは絶滅危惧種に指定されているため、動物園などでも滅多にみることができません。
3.「針」の違い
ハリモグラの針は最大で6pにもなりますが、ハリネズミの針は2cm程度です。
針の直径もハリモグラのほうが太く、針が刺さった時に痛みはハリネズミの比ではありません。
【ハリモグラの針】
どちらも「臆病な性格」のため攻撃性は低いですが、針の攻撃性はハリモグラのほうが勝っています。
- ハリモグラ
⇒太くて長い
- ハリネズミ
⇒細くて短い
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>>ハリネズミの針は痛いの?噛む原因や対策は?【攻撃まとめ!】
4.「吻(ふん)」の違い!
吻(ふん)とは、カンタンに言うと「くちばし」のことです。
ハリモグラの吻は7.5pもあり、まるで「鳥のくちばし」のような細長い形状をしています。
【ハリモグラ】
これはアリを主食とする動物によくみられる特徴で、アリクイの吻ととても良く似ています。
またハリネズミには歯があるため、「硬い殻を持つ昆虫」でもかみ砕くことができますが、ハリモグラにはありません。
ハリモグラの吻の先には鼻と口があり、アリやシロアリが出す「電気信号」を察知するための、センサー的役割を持っています。
- ハリモグラ
⇒鳥のくちばしのような形状
- ハリネズミ
⇒やや長めでツンとしている
5.「舌」の違い!
ハムスターやウサギなどと比べると長い舌を持っているハリネズミですが、ハリモグラは更に長い舌を持っています。
【ハリモグラの舌】※口先のピンクの部分
なおハリモグラは「舌の筋肉」がとても発達しており、1分間に100回以上も舌を出し入れすることができます。
また一時的に舌の血流を止めることで、木を貫通するほどの堅さにすることができるという特徴もあります。
- ハリモグラ
⇒18pとかなり長い
- ハリネズミ
⇒吻の長さと同程度
6.「指・ツメ」の違い!
ハリモグラは「長い指」と「強力な爪」を持っている為、ハリネズミよりも素早く土を掘ることができます。
またハリモグラの後肢は「毛づくろい」がしやすいよう後ろ向きに生えており、オスは攻撃に使える「蹴爪」を持っています。
蹴爪とは「未発達の爪が突起状に角質化したもの」のことで、同じ単孔類であるカモノハシにもみられる特徴です。
ただし、カモノハシの蹴爪には毒がありますが、ハリモグラにはありません。
- ハリモグラ
⇒四肢はすべて5本指。後肢の2本目と3本目の爪が長い(ミツユビハリモグラは4本目も長い)
- ハリネズミ
⇒前肢は5本指で後肢は4本指。爪の長さはすべて同じ
7.「出産方法」の違い!
出産方法の違いは「衝撃的」でしょう。
単孔類であるハリモグラは卵を産むため、赤ちゃんは卵の中で成長します。
「哺乳類=赤ちゃんを産む」と思っている方も多いと思いますが、なんと卵を産むのです。
メスは卵を産み落とすと、自分の腹部にある「育児嚢(いくじのう)」という袋で、卵を10日ほど温めて孵化させます。
この時に孵化した赤ちゃんは「育児嚢の中の皮膚からにじみ出る母乳」を飲んで育ち、約2ヶ月後に外へ出るようになります。
授乳は赤ちゃんが外に出た後も続き、約200日間もの間、赤ちゃんはずっと母乳を飲み続けます。
ハリネズミは「赤ちゃん」として生まれる
たいしてハリネズミの赤ちゃんは、ある程度お腹の中で成長してから生まれてきます。
まだ目も開いていない状態ではありますが、未熟ながら針も生えていて、自力で呼吸することもできます。
大人と同じエサを食べるようになるのも早く、授乳期間は40日程度です。
- ハリモグラ
⇒卵を産む(卵生)
- ハリネズミ
⇒赤ちゃんを産む(胎生)
8.「生息地」の違い!
基本的にハリモグラは、「エサが豊富な場所」ならどこでも生活することができます。
体を休める時は「岩場・木の根元にできた穴」に入ったり、土に「頭・お腹などの急所」を埋めて眠ることもあります。
時には自分で地面を掘って巣穴を作ることもありますが、育児中以外に決まった住処を作ることはほとんどありません。
ハリネズミは一つの場所に住む
また、一定の住処を作らない放浪者のハリモグラに対し、ハリネズミはひとつの住処に何年も住み続けます。
ハリモグラ同様、野生のハリネズミは岩場や木の根元を住処にすることが多く、複雑なトンネル状の巣穴を掘ることもあります。
ハリネズミの方が「分布地域」は多いものの、適応環境でいえば「ハリモグラ」のほうが多いといえるでしょう。
- ハリモグラ
⇒オーストラリア、ニューギニア島南西部
- ハリネズミ
⇒ヨーロッパ、アフリカ、ロシア、東アジア、ニュージーランド
9.「食性」の違い!
ハリモグラは別名スパイニーアントイーター(とげとげのアリクイ)と呼ばれており、その名の通りアリが主食です。
ハリモグラの鼻や舌はねばねばした粘液で覆われており、目で探さなくても簡単にアリを見つけて絡め取ることができます。
アリを探す時のハリモグラは落ち葉や岩場の中に濡れた鼻先を突っ込み、掘り返しながら進みます。
ハリネズミは「昆虫」がメイン
ハリネズミもアリを食べることがありますが、基本的にはコオロギなどアリより大きい昆虫がメインです。
雑食性のため食べられるものが多く、昆虫以外にはミミズ・ナメクジ・果物・種子・カエルなど小型の爬虫類を捕食します。
そのため、ハリネズミのほうがハリモグラよりも幅広い食性を持っているといえるでしょう。
- ハリモグラ
⇒主にアリ、シロアリ(ミツユビハリモグラはミミズ)
- ハリネズミ
⇒昆虫や果物、ミミズ、ナメクジなど
10.「寿命」の違い!
ハリモグラとハリネズミの寿命には、かなり大きな差があります。
体重が10倍以上違うため当然といえば当然なのですが、「ハリモグラ」のほうが圧倒的に長生きです。
ハリモグラの寿命は野生下で約40年、飼育下では約50年ともいわれており、動物の中でもかなり長寿な生き物といえます。
小動物のなかでは比較的寿命の長いハリネズミですが、さすがにここまで長寿な個体はいません。
- ハリモグラ
⇒40〜50年
- ハリネズミ
⇒5〜10年
11.「行動時間」の違い!
ハリネズミの行動時間は夜で、辺りが暗くなり始めてからエサを探しに出かけます。
対してハリモグラの行動時間は基本的に日中で、夜は静かな場所で体を休めています。
ただし、ハリモグラの体には汗腺がなく、体温調節のために汗をかくことができません。
そのため気温の高い時期には、日が沈んで涼しくなる夕方から夜にかけて行動することもあります。
- ハリモグラ:昼行性
- ハリネズミ:夜行性
実は飼える!ハリモグラの飼育方法!
かなり特殊な生態を持っているハリモグラですが、ペットとして飼育することも可能です。
ただし、「ミツユビハリモグラ」は絶滅危惧種で輸入が規制されているため、手に入るとしたら「通常のハリモグラ」のみでしょう。
ここではハリモグラを購入できる場所や値段、エサや温度について、カンタンに説明します。
ハリモグラはどこで買えるの?
ハリモグラのように珍しい動物は、
- エキゾチック専門店
- ネットの通信販売
で購入することができます。
ショップでの値段は100〜120万円で、場合によっては200万円以上の値がつくことも。
ハリモグラはオーストラリアでこそポピュラーな生き物ですが、日本ではかなり希少な動物です。
そのため、専門店でも扱っているところは少なく、入荷してもすぐに売り切れてしまうことが多いのだとか。
ハリモグラは飼育下での繁殖が難しく、国内はもちろん、国外でもブリーダーはほとんどいません。
そのため、調べてすぐに「販売中の個体」を見つけるのは難しいといえるでしょう。
専門店のオーナーにあらかじめ相談しておけば、入荷した際に連絡をもらえる可能性もあります。
「飼育環境」について!
ハリモグラは土に潜ることによって「気温の変化」に対処できるため、暑さや寒さには比較的強い動物です。
「風通しがよく、湿度の低い場所」に充分な土を入れた水槽を用意すれば、飼育環境として大きな問題はないでしょう。
ただし、野生のハリモグラは秋から冬にかけて冬眠する習性があるため、気温が5℃を下回ると動きが鈍くなります。
飼育下での冬眠はハリモグラの体に大きな負担がかかり、寿命が短くなる恐れがあります。
そのため冬場でも気温が下がり過ぎないよう、隙間風の入らない場所で飼育する必要があるでしょう。
ハリモグラの「エサ」は?
野生では「生きたアリ・シロアリ」を食べているハリモグラですが、飼育下となるとそうはいきません。
ハリモグラができるだけ野生に近い食事がとれるよう、ネット通販や爬虫類ショップなどで「冷凍のアリ」を購入しましょう。
ハリモグラは口が5mmほどしか開かないため、冷凍のまま固まったアリは食べることができません。
冷凍アリを与える時は必ず解凍し、ある程度ほぐれた状態のものを用意してください。
もし冷凍アリが手に入らない場合には、イカのような食べ物をペースト状にして与えます。
- リンゴやバナナなどの果物
- 牛乳
- ヨーグルト
- ひき肉
- はちみつ
- ゆで卵
- ドッグフード
- 粉末がゆ
ハリモグラの食性は、「アリクイ」や「アルマジロ」などとよく似ています。
そのため、動物園では主に「アリクイと同じエサ」を与えることが多いようです。
あまり深い容器に入れると食べづらいため、食器は浅いものを用意するとよいでしょう。
適切なエサを豊富に与えていれば、「ハリモグラの飼育は難しくない」といわれています。
ただし、ハリモグラは「飼育の歴史」がとても浅いため、適切な飼育方法はまだ確立されていません。
ハリモグラをペットとして飼育する場合は、動物園の飼育方法を参考にすると良いでしょう。
さいごに!
「ハリモグラとハリネズミの違い」と「ハリモグラの飼育方法」について説明しました。
ハリネズミについては、以下を参考にしてみてください!
また「巨大なハリネズミ」とも言われる「ヤマアラシ」についても、まとめていますよ。
>>ヤマアラシの針が超ヤバイ!交尾できるのか?飼育は可能?【巨大なハリネズミ】
その他、ハリモグラと同様に「珍しいペット」もまとめていますよ。
>>珍しいペット17選!値段や寿命、飼いやすさ・懐きやすさ【まとめ】
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