カタツムリの寄生虫「ロイコクロリディウム」は人間にも寄生する?【危険な虫】
こんにちは。
山奥の実家で20年、多くの虫と暮らしてきたアキラです。
カタツムリに寄生する「ロイコクロリディウム」。
グロテスクな見栄えであり、カタツムリと鳥の間を行き来する「賢い寄生虫」です。
どんな寄生虫なのか?人間にも寄生するのか?
カタツムリは他にも寄生虫がいるのか?
などなど、「カタツムリと寄生虫」についてわかりやすく説明していきます。
- ロイコクロリディウムってどんな寄生虫?
- カタツムリに寄生するとどうなるの?
- ロイコクロリディウムが寄生した時の特徴!
- 人間に寄生するの?寄生したらどうなる?
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「ロイコクロリディウム」ってどんな寄生虫?!
まずはじめに、ロイコクロリディウムについて簡単に説明します!
ロイコクロリディウムは
「カタツムリに寄生する代表的な寄生虫」
です。
「吸虫」の一種で、ヨーロッパやアメリカに広く生息しています。
日本ではあまり見られませんが、90年代にはすでに生息が確認されており、現在でもその生息範囲を広げつつあります。
日本での最初の目撃報告は北海道であったため、季節によって移動を行う「渡り鳥」を介して、温かい地域にも急速に広まっている可能性があると言われています。
では、カタツムリに寄生するとどうなるの?
では、カタツムリに寄生するとどうなるのでしょうか?
ロイコクロリディウムの一生は、
- カタツムリ
- カタツムリを食べる鳥
の間を行き来して、営まれています。
ロイコクロリディウムは、まず「カタツムリの体内」で卵を孵化させ、脱皮を繰り返してそのまま成長していきます。
そしてカタツムリの頭部に移動を開始し、カタツムリの特徴である長い触覚に入り込みます。
すると上の画像のように、触覚内が緑色になります。
これは、体内のロイコクロリディウムが透けて見えているためです。
【動画】
カタツムリは、触覚に寄生されたことで視界が遮られ、違和感を感じたカタツムリが触覚を回転させて抵抗します。
そしてこのロイコクロリディウムが動くことで、蝶の幼虫である「イモムシ」に見えるため、イモムシを好物とする鳥に間違えられて食べられてしまいます。
鳥が食べることでまんまと鳥の体内に侵入したロイコクロリディウムは、その鳥の腸管内で卵を産みます。
この卵は鳥のフンと共に排出されますが、カタツムリがこの「フン」を食べることで、またロイコクロリディウムはカタツムリの体内で成長し繁殖行動を行うのです。
こうして、カタツムリと鳥の間でグルグルと周り続けているのです。
ロイコクロリディウムの「特徴」!
「人への寄生」について説明する前に、ロイコクロリディウムの「ちょっと面白い特徴」を説明しましょう!
興味ない方は飛ばしてくださいね!
これはすでに上でも説明したことですが、ロイコクロリディウムは「宿主を殺すために活動をする」寄生虫です。
と言うのも、寄生虫は宿主の体内で一生を過ごし、繁殖行動も「宿主の体内」で行うのが一般的です。
しかしロイコクロリディウムは「一生を宿主の体内で静かに過ごす」だけではなく、「カタツムリの行動を支配する」ことにその大きな特徴があります。
寄生虫は宿主がいなければ生きていけないため、なるべくひっそりと寄生をしており、宿主を何度か変えながらも殺さない程度の活動をしています。
しかしロイコクロリディウムは、宿主を移動するために「カタツムリが鳥に食べられ死ぬ」ことをいとわないのです。
それがカタツムリの触覚でイモムシに擬態し、中間宿主(カタツムリ)を、最終宿主(鳥)のエサに似せてしまうという行動です。
ということで、寄生虫の中でも「宿主を殺すために活動をするタイプの寄生虫」と言えるのです。
カタツムリは普段は「昼間の活動」を好まず暗がりでじっと過ごしています。
しかしロイコクロリディウムに寄生されると、日中の活動が大変活発になります。
これはカタツムリの視界を遮って寄生するため、カタツムリが混乱することが大きな要因であると言われています。
また頭部に移動した際に脳にまで寄生の影響を及ぼし、神経を支配してしまうからだとも言われます。
このようにして、鳥に見つかりやすいように、カタツムリを動かしてしまうのです。
さらに恐ろしいことに、ロイコクロリディウムに寄生されたカタツムリは、「寄生されていない個体」と比べて寿命が長くなるのです。
このような変化が見られることから、ロイコクロリディウムはカタツムリの体内に入り込んで繁殖するだけでなく、脳にまで影響を及ぼし寿命までもを支配してしまう恐ろしい寄生虫であると言われています。
このように身体だけでなく心も支配しているように見えることから、「カタツムリをゾンビ化する寄生虫」と言われています。
人間に寄生するの?寄生したらどうなるの?
ロイコクロリディウムの目的は、カタツムリを経由して、「鳥の体内」で繁殖することです。
ですので、基本的には「積極的に人間に寄生するような生活サイクル」は持っていません。
しかし「ロイコクロリディウムに寄生されたカタツムリ」を食べてしまった場合は、人間であっても寄生される可能性があります。
たとえばカタツムリの仲間であるエスカルゴは食用ですので、寄生の可能性がある身近な存在と言えます。
寄生虫は、カタツムリのような決まった宿主以外にも寄生する可能性があります。
海外では死亡例も!
なお、日本ではまだ例がありませんが、ヨーロッパではカタツムリの持つ「薬効」を期待して食べた女性が、寄生虫によって髄膜炎で死亡したという例が報告されています。
この時、カタツムリに感染していたのがロイコクロリディウムだったのかは定かではありませんが、人にも移る可能性は考えられます。
※この時の感染は、後ほど紹介する「広東住血線虫」だった可能性も高いです
親しみのあるカタツムリは、日本でも注意!
日本では童謡に出てくるほどカタツムリには小さい頃から親しみがあり、多くの人に「可愛らしい動物である」と認識されています。
カタツムリは人里にたくさん生息しており、このような認識のまま安易に手で触ることで、寄生の危険が増えるのです。
そしてカタツムリはその姿がなくても、通った場所には粘液が付着しています。
姿がなくても気を付けなければならない場所は多いため、特に小さい子供のいる家庭では必ず手を洗うように習慣づける必要があります。
カタツムリの寄生虫はこれ以外にもいる!
カタツムリの代表的な寄生虫は、上で説明したロイコクロリディウムですが、これだけではありません。
危険とされている寄生虫の一つに広東住血線虫があります。
広東住血線虫の最終宿主はネズミで、主にドブネズミ(ラット)に寄生しています。
この寄生虫は「ネズミ」と「カタツムリ・ナメクジ類」の間を行き来することで、一生を送っています。
もちろん日本にも存在しており、ズーノーシス(人獣共通感染症)に指定され、
- 厚生労働省
- 国立感染症研究所
からも「感染の危険性」が指摘されています。
日本国内では本州での感染例もいくつかありますが、特に沖縄に多いとされています。
では人間に寄生するとどうなるのでしょうか?
これらが人に寄生するとどうなるの?
人間への寄生は、主に
- ドブネズミ
- カタツムリ・ナメクジ類
に汚染された食べ物を食べることで感染が始まります。
他にもロイコクロリディウムと同じ様に、
- 寄生された生食
- 火の通り切らないカタツムリ
を直接食べることでも寄生が起こります。
またあまり知られてはいませんが、淡水の
- テナガエビ
- カニ
- ヒキガエル
にも、広東住血線虫が長期間寄生していることが分かっています。
エビ類やカニ類を採集して食べる場合でも、まず充分に火を通さなくてはならないのです。
広東住血線虫がヒトの体内に取り込まれると、4日から25日程度の潜伏期間を経て最初の症状を起こします。
- 発熱
- 激しい頭痛
- 首の張り
- 嘔吐
- 悪心
などインフルエンザのような症状があり、さらに進行すると運動困難となり動けなくなります。
昏睡状態になる場合もあり、重篤な症状の中には失明やてんかん、光に対して敏感になるなどの症状みられます。
しかし一方で、2週間から4週間程度で自然に回復していく場合も多くみられます。
この場合は予後も問題なく、後遺症に悩まされることもほとんどありません。
さらに好酸球が増殖することもなく、髄膜炎症状がない場合もあります。
残念ではありますが、国内外問わず広東住血線虫の特効薬や治療方法は確率されていないのが現状です。
症状も人によって様々であることから、出た症状を軽くするための対症療法を行うのが一般的です。
確実な治療方法がないことから、しっかりと予防することが重要とされます。
広東住血線虫は国内でも気を付けなけれがならない寄生虫ですが、海外旅行中は特にその危険性が増します。
というのも、広東住血線虫は世界中で感染が見られており、特に東南アジアの地域やカリブ海、太平洋諸国という日本人の旅行者が多く行きかうような地域で、たくさんの感染例があるからです。
そのため海外旅行の際は、食事に充分に気を付けなくてはなりません。
街角の生野菜やフルーツを使ったジューススタンドでは、寄生虫対策のために
- 食材がしっかり洗われているか?
- 火が通されているか?
を確認したいところですが、客の立場では難しいのが現状です。
もし飲食店を利用するのであれば、ある程度衛生レベルの高い店を選ぶことやメニューを選ぶ必要があります。
たとえば
- 生野菜のサラダ
- 野菜ジュース
- カタツムリ料理
- 淡水エビやカニ料理
- カエル料理
です。
「これらの料理を避ける」という方法で予防を行うしかありません。
予防薬やワクチンはありませんので、一人一人が意識しながら行動するしかないのです。
2010年に感染し、10年近く症状が続いている例も・・・
2010年、オーストラリアのラグビー選手、サム・バラードさんが、誕生日パーティの際にナメクジを生食した結果、好酸球性髄膜脳炎を患いました。
このナメクジは「広東住血線虫」に感染していたのです。
3年掛かって退院できたものの、未だに「チューブでしか食事を取れない」などの後遺症に苦しめられています。
Teenager who swallowed garden slug as a dare fights government. https://t.co/tg7nyx6H3B
— ELLIOT IN THE MORNING (@EITMonline) 2018年3月8日
このような事例は、ネット上に挙がっていないだけで、ゴロゴロあるでしょう。
上で挙げたような「海外での感染予防」は、しっかりと意識することが大切です。
さいごに!
カタツムリとロイコクロリディウムについて説明しました。
カタツムリは日本人に愛されてる虫の一つであり、寄生されていないカタツムリはペットとして飼育する人も多いですよ!
ペットとしての飼い方は「カタツムリがグングン育つ飼い方!【餌・寿命・種類・卵なども解説】」にまとめていますので、こちらもご覧ください!
なお「寄生虫」と言えば、ダイエットブームがおきた「サナダムシ」も有名ですので、あわせてご確認ください!
>>サナダムシのダイエットは最悪「死」!寄生症状が怖い…【卵と画像】