サナダムシのダイエットは最悪「死」!寄生症状が怖すぎる…【卵と画像】
こんにちは。
山奥の実家で20年、多くの虫と暮らしてきたアキラです。
ダイエットに効果がある、そんな噂が広がった「サナダムシ」。
しかしそのダイエットの裏には、最悪「死」のリスクも存在します。
ここでは、
そもそもどんな虫なのか?
なぜダイエットに良いのか?
どんな症状が起こり得るのか?
を分かりやすくまとめてみました。
- サナダムシってどんな虫?(種類など)
- 生まれてから死ぬまでの流れ!
- 人間への5大感染経路!
- 寄生することによる症状は??
- なぜダイエット効果があると言われるの?
- 「死」のリスクもある…
- 余談:そもそもなぜサナダムシは寄生するのか?
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サナダムシってどんな虫なの?
サナダムシとは、
- テニア科
- 裂頭条虫科
に属する「条虫(じょうちゅう)」と呼ばれる寄生虫全般を指す言葉です。
成虫の姿が真田紐(さなだひも)という「平たい紐」に似ていることから、「サナダムシ」と呼ばれるようになりました。
サナダムシは成長の過程で分裂を行いますが、繋がったままのものであれば長いものでは10mほどの長さに達するものあります。
カリフォルニアでは「サーモン好きの男性」の肛門から、なんと「約168cmのサナダムシが出てきた」という事例もあります。
↓トイレットペーパーの芯に巻かれたサナダムシ
He ate raw fish almost every day ? until a 1.6-metre-long tapeworm slithered out of his body https://t.co/34hPvvgzCP pic.twitter.com/s1rahsQDHk
— The Straits Times (@STcom) 2018年1月20日
ちなみに「さなだむし」は和名であり、
- 条虫
- 條虫
- 真田虫
とも表記される場合があります。
またかつては「寸白(すばく)」と呼ばれていたこともあります。
種類がある!
サナダムシの種類は主に
- 日本海裂頭条虫
- マンソン裂頭条虫
- 広節裂頭条虫(ミゾサナダ)
- 有鉤条虫(カギサナダ)
- 無鉤条虫(カギナシサナダ)
などが知られています。漢字が多く、やや分かりにくいですよね。
これらはたくさんある寄生虫の中のほんの一部ではありますが、衛生管理が行き届かなかった戦後あたりまでは、我々の生活に入り込んでいる「ごく日常的な寄生虫」として知られていました。
なお、上記の寄生虫は、すべて最終宿主(最終的に寄生する先)が哺乳類となるため、
- クマ
- イヌ
- ネコ
などと同様に人間も含まれています。
サナダムシは、最終宿主の「腸管」内でしか産卵することができません。
中間宿主を経るのは、「最終宿主にたどり着くため」と言う事もできます。
なお、我々日本人にとってメジャーであったサナダムシですが、
- どの寄生虫が含まれるのか?
- どれを指してサナダムシと呼ぶか?
は、人や媒体によって違っている場合があります。
生まれてから死ぬまでの流れ!
サナダムシが生まれてから死ぬまでの流れを、簡単に説明しましょう。
サナダムシは、「卵」の状態では水中に浮遊しています。
その卵が水中に住む「ミジンコ」の体内に取り込まれ、微生物を食べる「魚」の体内に取り込まれます。
また「水を飲む家畜類」や、「汚染された食物を食べる動物」に取り込まれ、その動物を食することで、最終宿主の「哺乳類」にたどりつきます。
私たちと関わる段階までには、
- 牛や豚
- イノシシ
- 魚
- ヘビ
- カエル
- ニワトリ
などの脊椎動物に寄生しています。
ここからこれから挙げる理由で人間などの哺乳類に寄生すると、腸管内で成虫に成長し、寿命が尽きるまで寄生し続けます。
種類によっては数メートルにも成長する他、小さな分節ごとに体内を移動するものもいます。
そして体内で産卵し、排泄されたりそのまま成長し続けて、数を増やしていきます。
人間への5大感染経路!
では、人間へはどのように感染していくのでしょうか?
代表的な5つの感染経路を紹介します。
マイナス20度以下で48時間以上冷凍されなかった
- マス寿司
- 生のサケ
- 火の通り切らないカマス
- スズキ
などの魚を食べた場合に感染する可能性があります。
主に日本海裂頭条虫、広節裂頭条虫などの感染経路となります。
牛肉のたたき、レアステーキ、ローストビーフ、輸入牛の刺身、不完全調理の豚およびイノシシの肉・鹿の肉、鶏肉のたたき、ヘビやカエルの生肉や血液を食べた場合に、感染する可能性があります。
これらは主に、
- 有鉤条虫
- 無鉤条虫
- 広節裂頭条虫
- マンソン裂頭条虫
- 日本海裂頭条虫
などの感染経路となります。
外国で「“虫卵およびケンミジンコ” に汚染された生水」を口にした場合に、感染する可能性があります。
主に広節裂頭条虫、マンソン裂頭条虫、日本海裂頭条虫などの感染経路となります。
生野菜のサラダ、汚染水がついた野菜類、輸入キムチなどを食べた場合に感染する可能性があります。
主に
- 広節裂頭条虫
- マンソン裂頭条虫
- 日本海裂頭条虫
などの感染経路となります。
主に、
- 糞便に触れた後に、手を清潔に洗わない
- 飼育用具の洗い場と、普段の調理場を同じ場所にしている
- 普段過ごす場所に「感染した動物の糞便」がある
などの理由で、誤って糞便内の寄生虫を口に入れてしまうことで感染を起こす可能性があります。
マンソン裂頭条虫、広節裂頭条虫などの感染経路となります。
このような感染経路を経て、人間へ感染します。
海外で「生野菜」や「生水」を口にしない方が良いと言われるのは、このような理由のためでもあります。
寄生することによる症状は?
では、人間に寄生するとどのような症状を引き起こすのでしょうか?
寄生虫の種類や体質によっても多少の違いはありますが、主な症状は以下の通りです。
- 腹痛
- 飢餓感
- 悪心
- 下痢
- 食欲不振
- 吐き気
- 下腹部の張り
- めまい
- 便秘
- 消化不良
- 血便
- 悪性貧血
- 寄生虫による腸管の閉塞
- 内臓の圧迫や破壊
- 排泄時の肛門の違和感
- 成虫の排泄
これらは他の病気の症状にも多いため、自分自身で寄生虫に気付くことは難しいでしょう。
基本的に初期症状は無症状となるため、気付かずに体内で寄生虫が育ってしまう場合も多くあります。
また上記の様な症状とは別に、寄生虫が体内で「抗原」を放ってしまうと、それに反応して「サナダムシのアレルギー症状」が出る場合があります。
なぜダイエットに効果があると言われるのか?
生きたサナダムシを体内に入れてダイエットをおこなう、「サナダムシダイエット」が20世紀初め頃に流行しました。
当時は、「歌手マリア・カラスが成功したダイエット方法」ということで、日本にも広く知れ渡ることとなりました。
しかしこの話はデマであり、彼女の夫が「サナダムシを駆除した後にダイエットを行って成功した」と証言しています。
にも関わらず、この噂で日本でも「サナダムシダイエット」を行う人が増え、現在でも語り継がれています。
ダイエット効果は実際にあるのか?
サナダムシを体内に入れると、なぜダイエットに繋がるのか?
ダイエットに繋がるまでの道のりは、大きく2ステップです。
サナダムシは寄生虫ですので、体内に入れるということは「寄生される」ということです。
哺乳類が「最終宿主」であるサナダムシですが、種類によって活動内容が違っていますので、成功させるにはまず体内にサナダムシを定着させることが必要です。
人間の体には余計な物質を排除するという「生物としての基本的な機能」がありますので、スムーズに排出されてしまう場合も多々あります。
もし定着に成功した場合、サナダムシはどういう働きをするのか?
「寄生虫研究の第一人者」である藤田紘一郎氏が、2015年に以下の効果がある旨を語っています。
- 宿主の持つ「中性脂肪」を食べる
- サナダムシの出す便が「アレルギー抑制物質」となる
「ダイエットに効果がある」と言われるのは、この「中性脂肪を食べてくれる」というのが理由になっています。
サナダムシからすると、宿主が不健康になれば「新たな住処(すみか)」を探さなければなりません。
それではリスクも高く、排泄される以外に「外に出る」方法がない寄生虫にとっては、新たな住処を見つけ出すのは無理な話です。
しかし宿主が健康であれば、栄養をたくさん取り長生きすることで、サナダムシ自身も健康で長生きすることができます。
さらに、サナダムシが産卵できるのは最終宿主である「哺乳類の腸管内」だけであるため、産卵環境を良くすることもできるのです。
そのために、
- 中性脂肪を食べて人間を健康に導く
- アレルギー症状を緩和させて腸内環境を強化する
のです。
これらの話は、宿主にとっては夢のような効果ですよね。
藤田氏は自身でもサナダムシを飲み、定着させてメタボを解消しています。
さらに「人を穏やかにする作用」もあるのだと言います。
これは「腸内環境が整うことで得られる効果」だと言うことができます。
一方で、最悪「死」のリスクもある…
藤田氏の話を聞く限りでは良いことばかりのサナダムシです。
しかし「寄生虫症」という病名があるように、これは病原体を自ら進んで体内に取り込んでいるに過ぎません。
間違いなく危険な行為となります。
これは藤田紘一郎という「研究家」で「人と寄生虫の共存を良く知っている人物」だからこそ、成功したと言えるのです。
サナダムシは実に色々な種類がおり、「見た目で判別できない素人」がおこなうには危険なダイエットなのです。
ちなみに藤田氏が飲んだサナダムシは、「日本海裂頭条虫」と「回虫」でした。
※サナダムシというくくりは非常にあいまいで、藤田氏の研究では回虫を示すこともあったようです
大量の「鮭」の肉の中から「感染幼虫」を掘り出し、たくさんの子虫を直接飲んでいました。
しかしそのように行動していながら、同時に以下のような危険な点も挙げています。
命にも関わる危険な点…
- 幼虫が成長過程で肺に移動する期間があるため、その時期は重度の肺炎を起こす場合がある
- 血流に乗って胆管や膵管に入り込むと、黄疸や激しい腹痛を起こす場合がある
- 成虫が腸管内で閉塞を起こす場合がある
- 腸管内で栄養を横取りするように吸収するため、必要な栄養が人間に回らず、貧血や胃腸障害、肌荒れなどを起こす
- 肛門から数十センチほど出てくる場合がある
- 血流に乗って脳に移動し、脳内で産卵を行ってしまう場合がある
- 脳にサナダムシが移動することで、激しい頭痛や意識障害を起こす場合がある
- 減量効果がまったくない場合がある
このような症状が起こった場合、緊急の外科手術や処置が必要となり、意識障害に至っては、運転中に起こった場合などは危険な結果となりかねません。
最悪の場合死に至るケースも出てきます。
ちなみに、実際カリフォルニアにおいて「脳内に寄生されたことで命の危険が迫っていた」というニュースがあります。
地元紙ナパ・バレー・レジスター(Napa Valley Register)の取材に応じた医師団によれば、サクラメント(Sacramento)に住む学生、ルイス・オーティス(Luis Ortiz)さん(26)の脳内に条虫の幼虫が寄生し、命の危険が迫っていたという。
担当の神経外科医によれば、サナダムシはオーティスさんの脳の中で、「瓶のコルク栓(せん)」のように嚢胞(のうほう)を作り、それによって、脳室に流れる脳脊髄(せきずい)液がせき止められていたという。
激しい頭痛と吐き気を訴えて病院の救急治療室に運ばれたオーティスさんは、その後、昏睡状態に陥り、緊急外科手術で幼虫の摘出手術を受ける必要に迫られた。
引用:AFP BB NEWS
このような症状が出るかどうかは、寄生虫と宿主との「相性」のようなものであり、相性が良ければ藤田氏のように「無症状」のまま過ごすことができるようです。
しかし「命をかけてまでダイエットを行いたいのか?」という問題になります。
サナダムシに寄生されるということは、最悪の場合に「死」となることを憶えておかなくてはなりません。
余談:サナダムシはそもそもなぜ寄生するの?
最後に余談ですが、そもそもなぜサナダムシは寄生するのでしょうか?
人間のような「寄生虫が寄生する生き物」を「宿主」と呼びますが、サナダムシも他の寄生虫と同様に、ライフステージによって複数の宿主を介して「最終宿主」までたどり着きます。
寄生虫は宿主なしの単体では生きられない生き物ですので、寄生することで生きながらえ、繁殖をおこなうのが寄生の大きな目的です。
そのため「寄生環境に適応するような体つき」となっています。
しかし宿主に重大な症状が出て死んでしまった場合は、共倒れとなり生きていけなくなります。
このため、自身の存続のために「宿主の命にかかわるような大きな症状」をあまり起こさないように進化してきたのです。
これは「重大ではない」と宿主が思うことで、駆虫されることを回避し、寄生し続けることに成功してきた寄生虫の知恵とも言えます。
ただし、上で説明のとおり「大きな症状」を引き起こすこともありますので、安易にサナダムシダイエットに手を出すのは危険だと言えるでしょう。
さいごに!
サナダムシの生態や、ダイエットの危険性についてお話してきました。
「寄生虫」では、カタツムリに寄生するロイコクロリディウムも有名ですので、あわせてご確認下さい!
>>カタツムリの寄生虫「ロイコクロリディウム」は人間にも寄生?【死亡例も…】