トノサマバッタの生態(餌・飼い方・卵・寿命・共食い)をわかりやすく解説!!【完全版】
こんにちは。
山奥の実家で20年、多くの虫と暮らしてきたアキラです。
バッタの中でも特に大型の「トノサマバッタ」。
外で捕獲できたものの、
餌や飼い方が分からない!
寿命ってどれくらいなの?
などなど、分からないことが多いでしょう。
そこでこのページでは、トノサマバッタの生態や飼い方をどこよりも分かりやすく説明しています。
- トノサマバッタってどんなバッタ?
- トノサマバッタを飼うときの5つのポイント!
- トノサマバッタの寿命はどれくらい?
- 産卵と孵化の5つのポイント!
- トノサマバッタは共食いするの?
- 自然化における天敵とは?
トノサマバッタってどんなバッタ?
トノサマバッタは5p程度の大きさで、個体差はあるものの、メスのほうが1p程度大きくなる場合があります。
手に乗せると他のバッタに比べどっしりとした体格で、インパクトのある顔をしています。
トノサマバッタは別名「ダイミョウバッタ」とも呼ばれており、仮面ライダーのモデルにもなっていることでも有名ですね。
そんなトノサマバッタは日本中に生息しており、北海道でも沖縄でも見ることができます。
6月後半あたりから11月にかけてが最も活動する時期となるため、様々な場所で見られるようになります。
トノサマバッタはイネ科の植物が大好きですので、山の中よりもススキや稲が生える
- 田んぼ
- 畑
- 草原
に多くみられます。
しかし意外にも、動物の死がいなども食べる事があり、肉食寄りの植物食である事が分かっています。
ちなみに自然界には緑色と茶褐色の個体が見られますが、色が違うだけで同じ種類のトノサマバッタです。
なぜ色が違うのか?については、のちほど「共食い」のお話で説明しています。
トノサマバッタの飼い方と5つのポイント!
ではここから、トノサマバッタを飼うときのポイントを5つに分けて説明しましょう!
飼育ケースはなるべく大きいものを用意しましょう。
自然下で自由に飛び回るトノサマバッタがストレスを感じ、そのために寿命が短くなってしまうのを防ぐためです。
そして飛び上がった時に、羽根や頭をぶつけて怪我をすることを防ぐためでもあります。
そういった意味では「ケースに入れる」という概念をやめ、可能であれば温室や庭、ベランダの一部を網で囲って、自由に飛べるようにすると良いでしょう。
室内であれば、以下のようななるべく大きいプラスチックケースを用意しましょう。
プラスチックはガラスに比べ保温性に優れていますし、軽いのも使いやすい点です。
床材は川砂や昆虫用の土が向いています。
底面に浅く敷き、水分を適度に含ませましょう。
この床砂は、なくても成虫には問題はなく、手入れの観点からも入れなくても良いと言えます。
産卵を考慮するのであれば、小さな容器に産卵床を作って入れれば良いので、床砂は手入れに困らない程度の量で構いません。
エサとなるイネ科植物は、水分がないとすぐに枯れてしまいます。
そのため採集した植物を花瓶のように挿しておくか、植木鉢で育ててそのまま与えるようにしましょう。
植物を新鮮なものに毎日交換できれば理想的です。
餌の与え方については、のちほど「トノサマバッタの餌の与え方」で説明します。
ケース内が乾燥しすぎないために水分保持用のスポンジを入れておきます。
1日1回は濡らして、容器や皿、ペットボトルのフタなどに入れてケース内に置いておきましょう。
トノサマバッタは植物を食べる時に一緒に水分を取るため、水場で直接吸って摂取することはありません。
しかし適度な湿度は暖かさを維持しますので、気温管理の点からも置いておいたほうが良いでしょう。
スポンジは100均で売られているようなもので大丈夫です。
トノサマバッタは越冬できませんが、気温を安定させておくことで寿命を延ばし、1年中快適に飼育することができます。
もし飼育下で繁殖させたり長く飼育を楽しみたいなら、加温するのがおすすめです。
加温には爬虫類用のパネルヒーターを使用しましょう。
薄いシート型なので、飼育ケースの下に敷いてケースごと温めます。
しかし床材が厚めに敷いてあると熱が伝わりにくくなり、うまく気温が上がらなくなります。
そのため、床材を浅めに敷くか、パネルヒーターを側面に当てて加温するようにしましょう。
では続いて「トノサマバッタの餌の与え方」について説明しましょう!
トノサマバッタの餌の与え方とコツ!
トノサマバッタのエサは、イネ科の植物となります。
身近なものでは
- エノコログサ(ねこじゃらし)
- モロコシ
- ススキ
- スズメノカタビラ
- 稲
などです。
ちなみに柔らかい葉を好みますので、同じイネ科でも固いササはあまり向いていません。
これらのイネ科植物を採集し、花瓶に挿したり植木鉢に土ごと移して育てておくと、新鮮な状態を保ちながら与えることができます。
イネ科であれば小さな雑草でも構いませんが、外での採集は農薬や排気ガスの汚染の心配がありますので、採集場所に注意しましょう。
もし採集が難しいなら種から育てることも可能です。
「猫草」としてペットショップで販売されている植物はイネ科ですので、こちらを育ててみましょう。
植木鉢にいくつか植えておくと、いつも新鮮な状態で与えることができます。
そして枯れた草は食べないので必ず取り除いてください。
なお、これらの植物を飼育ケースの中で育てようとして、日光の当たる場所にケースを置いてしまう場合があります。
しかし直射日光が当たる環境に何時間も置いておくと、トノサマバッタは気温の上昇で死んでしまいます。
そのため、
- 適度な風通しの良い場所に置く
- ケースの外で育てて鉢を交換しながら与える
のが良い方法です。
トノサマバッタの寿命は早くて3ヶ月!
トノサマバッタは、幼虫や成虫の状態では越冬することができません。
よって孵化した後であれば、寿命は早くて3か月、長くても1年程度となります。
しかし「卵の状態」のままであれば、越冬することができます。
「冬期の低温期を経ること」が孵化の条件となるため、飼育下では産卵する場所だけを別環境に用意し、「越冬状態を人の手で作る」事で孵化させることができます。
寿命は短いですが、トノサマバッタを飼育下でずっと楽しむために、人の手で繁殖を行って飼育をすることが可能です。
トノサマバッタの産卵と孵化の5つのポイント!
寿命が短いトノサマバッタは、一年に2度産卵し、二代進むと言われています。
一度目の産卵は夏の初めで、二度目は秋ごろとなります。
夏の初めに産んだ卵は1か月程度で孵化しますが、秋に産んだ卵は孵化せずにそのまま越冬をします。
このことでトノサマバッタの卵は「気温が高い状態でなければ孵化できない」ということが分かりますが、飼育下では気温コントロールを行うことで孵化させることもできます。
ではここから、5段階に分けて産卵と孵化のさせ方を説明しましょう!
産卵床とは、「産卵する場所」の事を言います。
飼育下では、トノサマバッタの生活場所と産卵床を同じケースにすると、管理がしにくくなります。
そのため、産卵を行う場合だけ飼育ケースに「産卵床」を入れると良いでしょう。
用意する場合は、産卵床となる土や砂を殺菌処理をするため、電子レンジで加熱するか、無菌のものを購入します。
殺菌処理ができたら、植木鉢のような小さめのケースに入れましょう。
植木鉢は「100均」で売られているようなものでOKです。
土を霧吹きで軽く湿らせて、水分を補っておきます。
適度に湿り気を与えてから、オスとメスが入ったケース内に置いておきます。
トノサマバッタのオスは、後ろ足を羽とすり合わせて鳴き声を出すことができます。
コオロギなどと同じように、オスはこの音でメスを引き寄せて交尾を行うのです。
交尾をしたかどうかの確認は飼育下でも分からないこともありますが、もし秋に成虫を採集した場合は、交尾後である可能性が高いので、産卵の準備をしましょう。
メスは、腹部の先端を産卵床に突き刺して産卵管を開いたり閉じたりしながら産卵していきます。
卵はスポンジのような白い泡で包まれた状態で産まれてきます。
このスポンジ状の泡は「卵鞘」と呼ばれるもので、バナナのような形をしています。
一つの卵鞘の中には50個〜100個程度の小さな卵が入っています。
生まれた卵は産卵床に入れたまま、成虫のいない別の容器に移動します。
これは卵を成虫とは違った管理方法で育てるためです。
まず気温の安定した部屋で、容器よりも大きな箱に入れて置いておきます。
そして1か月程度たったら、冷蔵庫に入れて冷やしていきます。
2〜3か月程度で取り出し、また加温された飼育ケースに戻すと孵化しやすくなります。
この「冷やす」と「再度温める」方法は、越冬を再現したものです。
常に同じ暖かい気温の中では孵化しにくくなるため、こうした方法で気温にメリハリをつけて管理する必要があるのです。
幼虫が生まれたら、まだ固い葉が食べられませんので、エサは柔らかい葉を与えましょう。
特にスズメノカタビラが他のイネ科植物よりも食べやすいようです。
成長に合わせて様々なイネ科植物を与え、徐々に固いイネ科のエサに移行させていくのが望ましいとされています。
また昆虫の成長には脱皮が欠かせません。
トノサマバッタも脱皮して成長していくため、太陽の光が必要です。
そのため、ケースごと日向に出して日光浴させるほか、爬虫類用の紫外線灯を利用する方法もあります。
両方の方法を取り入れるのが理想的なのですが、紫外線灯がない場合は時間を決めて日向に出して陽に当てましょう。
当てすぎると熱くなり死んでしまいますので、出しっぱなしで放置しないようにしてください。
ここまでが「トノサマバッタを飼育する5つのコツ」でした。
では続いて、
トノサマバッタは共食いをするのか?という点について説明しましょう!
トノサマバッタは共食いをするの?
結論から言うと、共食いします。
飼育する場合は、この共食いの危険性を抑えたいですよね。
ここでは、
- 共食いを抑えるには?
- バッタには「共食いしたい」という願望がある?
という2点を説明します。
トノサマバッタは、
- 脱皮中で動けない個体
- 弱った個体
を共食いすることがあります。
これはトノサマバッタの食性が完全な植物食ではなく、少々肉食よりであり、植物ばかりでは食欲を満たせないためです。
こうした場合は、エサ入れに金魚のエサや削り節などを入れて、タンパク質を補給させることで共食いを防ぐことができます。
ペットショップには金魚のエサに似たコオロギ用の粒エサも販売されていますので、上手に利用しましょう。
特に常にエサが少ない環境であったり、トノサマバッタを大量に飼育している場合には、いつも共食いを考慮しなくてはなりません。
飼育ケースはなるべく広くし、エサを与えるさいに動物性たんぱく質もあわせて与える事が、共食いの対処法となります。
共食いは特にメスがオスを襲うことが多く、削り節を与えていても共食いは完全に回避できません。
しかし、少しでもその危険性を抑えることができますので、効果があります。
トノサマバッタに限らず、バッタの仲間には共食いをする習性のようなものがあります。
実はトノサマバッタには
- 単独で生活する「孤独相」
- 集団で生活する「群生相」
のツータイプが存在します。
普段私たちが目にしているトノサマバッタは緑色であり、集団になることはありません。
しかし世界では、集団で荒野を飛び回り、家畜や畑を群れで襲撃する被害があります。
この集団になるバッタは「群生相」というタイプであり、実は「孤独相」タイプから変化したものなのです。
「群生相」に変化すると、緑色だったバッタの姿が黒や茶褐色に変わり、黄色や赤の派手なラインが入って悪役のようなイメージになります。
しかしどうして集団になるのでしょうか。
これは私たちから見れば魚の群れに似ているため、「バッタの運命共同体」に見えてしまいますが、実はバッタは皆「共食いをしたい」という共通の目的で集まっています。
前にいるバッタを「共食いをしたい」、しかし後ろにいるバッタに「共食いされたくない」。
この二つの本能があるため、同じ方向に集団で飛んでいくという結果となるのです。
実は「共食い=タンパク質が足りない」という理由だけではないのです。
この「共食いしたい」と思っている「群生相」のタイプは、相手を襲うために肉食性が強くなり、「孤独相」だった時よりも気性が荒く相手を襲いやすくなります。
この「群生相」のタイプに自分のトノサマバッタを変化させないためにも、飼育下では狭いスペースで大量に飼育しない方が良いとされているのです。
共食いを防ぐためにできることは、本来持っている「共食い習性」をコントロールすることです。
「共食いしたい」と思わせないために削り節などを与えて食欲を満たし、ある程度数を抑えて飼育することが大切なのです。
トノサマバッタの天敵
トノサマバッタは、自然界では他の昆虫と同じ様に、捕食される立場となるため、天敵がたくさんいます。
たとえば
- スズメバチ
- カマキリ
- ムカデ
- クモ
などの「肉食昆虫類」や「節足動物類」が身近な天敵です。
また
- ヒキガエル
- トノサマガエル
- ヘビ
- トカゲ
などの両生類や爬虫類も含まれます。
他にも空から昆虫を狙う鳥たちや、キツネなどの哺乳類も天敵とされています。
さいごに!
トノサマバッタについて色々説明しました。
通常のバッタよりも一回り大きいですが、その分「ペット感」はありますので、ぜひ飼育にもチャレンジしてみてくださいね♪