ハクビシンの生態(天敵・大きさ・生息地)と5つの害!【病気や感染症も怖い…】
「人間への実害」が多いとして “害獣” 扱いされているハクビシン。
ここではハクビシンの生態のほか、
どのような実害があるのか?
どのような感染症リスクがあるのか?
について分かりやすくまとめてみました。
- ハクビシンはどんな動物?大きさは?
- 生息地はどこ?
- 寿命はどれくらい?
- 何を食べてるの?食性について!
- 天敵は誰だ?!
- 繁殖は一年中行われる…
- ハクビシンによる5つの実害!
- ハクビシンによる病気・感染症は5つ!
ハクビシンとはどんな動物?大きさは?
ハクビシンは、日本に生息する唯一の
ネコ目 ジャコウネコ科
の動物です。
平均的な大きさは
- 体長:51〜76p(+しっぽ40〜60p)
- 体重:3〜4kg
であり、オスの方がメスよりも大きくなります。
タヌキやアライグマに似ているといわれるハクビシンですが、よく見ると外見は違っています。
【タヌキ】
【アライグマ】
アライグマは確かに、遠めで見れば少し似ているかも知れません…
ただしハクビシンは「手足が短く胴が長い」ため、どちらかというと「イタチ」や「フェレット」などに良く似ているといえるでしょう。
毛色は、
- 体毛
⇒「灰褐色」と「黄褐色」
- 尻尾の先、手足、耳と頬
⇒「黒っぽい色」
をしています。
「スラリと伸びたしっぽ」は長くしなやかで、樹の上ではこの「しっぽ」をうまく使うことで、バランスをとっています。
ハクビシンのもっとも大きな特徴は、「鼻から頭頂部にかけて、白い縦模様がまっすぐ伸びている」こと。
他の動物にはないこの模様は、ハクビシンの名前の由来にもなっています。
また、ハクビシンの前足は非常に発達しており、まるで人間のようにモノをしっかりと掴むことができます。
タヌキやアライグマ同様、「手の平の毛」がまったくないというのも、ハクビシンの特徴の1つといえるでしょう。
ハクビシンの生息地はどこ?
ハクビシンは、
- マレーシア
- インド
- ネパール
- 台湾
などに生息しています。
日本での分布は
沖縄県を除く、本州から九州
の広い範囲であり、特に生息数が多いのは関東と東北地方です。
以前は山林のみでみられたハクビシンですが、近年では「都内の住宅地」に出現することも増えてきています。
寿命はどれくらいなの?
ハクビシンの寿命は
- 野生下:約10年
- 飼育下:約15〜20年
とされています。
飼育下での記録には「25歳の長寿個体がいた」と残されていますが、「野生のハクビシン」の場合はそれほど長生きすることはできません。
老いてからもなお「厳しい野生下」で生き抜くというのは、野生動物にとってかなり難しいことなのです。
何を食べてるの?食性について!
ハクビシンは雑食性の動物で、様々なものを食べて暮らしています。
ハクビシンのエサとなるのは
- 果物
- 野菜
- 昆虫
- トカゲ
- カエル
- 木の実
- 種子
- 魚
- ねずみ
- 鳥の卵
などであり、特にミカンやリンゴなど「糖度の高い果物」を好んで食べる傾向があります。
また、住宅街に出没するハクビシンの中には、犬や猫のペットフードを狙って民家の庭に侵入するものもいます。
ハクビシンの天敵は誰だ?!
ハクビシンの天敵は、
- フクロウやタカなどの「猛禽類」
- アライグマ
です。
「猛禽類」はハクビシンの子どもを獲物にする
猛禽類(もうきんるい)に狙われて命を落としやすいのは、まだ体の小さい「子どものハクビシン」です。
フクロウやタカなどの猛禽類は、「特殊な形状の羽」を持っており、大きく羽ばたいてもほとんど音がしません。
動きも素早いため、「ハクビシンの親」が目を離した一瞬のスキに、「子どものハクビシン」はさらわれてしまうことが多いのです。
ただしハクビシンは成長が早く、生後半年ほど経てばだいぶ体のサイズが大きくなっています。
猛禽類は「自分よりも体の小さい動物」を主な獲物とするため、ある程度まで成長すると、狙われることは少なくなるでしょう。
アライグマは、ハクビシンの「住処」や「エサ場」を奪う
近年、ハクビシンの一番の天敵といわれているのは「アライグマ」です。
アライグマはハクビシンと生態が似ており、ハクビシンの
- 住処(すみか)
- エサ場
でもっとも鉢合わせしやすい動物です。
アライグマは縄張り意識が強く、かつ非常に気性が荒いため、ハクビシンを見つけるとすぐにその場から追い払おうとします。
そしてアライグマよりも体の小さいハクビシンは、せっかく見つけたエサ場や住処を追われてしまうというわけです。
ハクビシンの繁殖は一年中…
このあと説明しますが、ハクビシンには「人間生活への実害」があります。
そのため「駆除対策」を施されることが多いのですが、繁殖力も強いため、専門業者でないとなかなか難しいの実情です。
ハクビシンは「通年繁殖動物」であり、1年中いつでもこどもを産むことができます。
もし「屋根裏」や「軒下」にハクビシンのつがい(オスメス)が住み着いた場合、すぐに子どもができてしまうでしょう。
ハクビシンの「妊娠期間」は約2ヶ月程度と非常に短く、「1度の出産で産むことのできる子どもの数」は、最大で5匹にもなります。
更に「メスのハクビシン」は生後10ヶ月ほどで出産ができる体になるため、その個体数は毎年確実に増加します。
いわゆる「ねずみ算式に数が増えていく」という状態なのです。
ハクビシンによる「人間へ5つの害」!
ハクビシンはもともと「野山に生息している動物」ですが、近年では「森のない首都圏」でも目撃情報が出ています。
その裏では「森林伐採」や「個体数の爆発的な増加」によって、食料・住処が不足し、人里に降りてくるハクビシンが年々増えているのです。
では、ハクビシンが「人間の生活圏」に入ってくることで、どのような実害があるのか?
大きく分けて5つ挙げられます。
沖縄をのぞく全国の農家では、ハクビシンによる農業被害が多発中です。
ハクビシンは果物(特にオレンジ等の柑橘系)を好んで食べる動物で、農家の農作物を食い荒らします。
またサツマイモやじゃがいもなどの「芋類」もハクビシンの大好物。
夜な夜な畑に現れては、芋類を見つけるために土を掘り返すなどの行動がみられることもあります。
「ハクビシンが少しでもかじった野菜・果物」などは売り物にならないため、金銭面でも農家には甚大な被害が出ています。
樹上性であるハクビシンは木登りが非常にうまく、電線などをうまく伝って様々な場所に移動することができます。
頭が入る場所ならどこからでも入り込めるため、4pほどの隙間さえあれば天井裏に侵入することも可能です。
ハクビシンは夜行性で、日中は「暗くて静かな場所」で体を休めています。
人の出入りがほとんどない「民家の屋根裏」は、ハクビシンの格好の住処(すみか)といえるでしょう。
屋根裏に住み着いたハクビシンは「断熱材」をボロボロに食い破って巣に運び、フカフカのベッドを作ります。
断熱材のなくなった住宅は外気の影響を受けやすくなるため、「冬は寒く、夏は暑い」という「人間にとって非常に住みにくい家」になるでしょう。
また、ハクビシンが長い間天井裏に住み着いてしまうと、糞尿の重みで天井が抜けたり、シミができたりすることもあります。
ハクビシンは夜行性の動物で、夜になると活発に動き回ります。
しかし、夜中に天井や床下をバタバタと走り回られると、寝ている人間側はたまったものではありません。
ハクビシンには縄張り意識がなく、同じ場所に複数の群れが住み着くこともあります。
群れが増えるということは、それだけ繁殖の機会が増えるため、個体数も増えていくということです。
上で説明のとおり、ハクビシンは1度の出産で産む数が多いため、数がどんどん増えていく可能性もあります。
ハクビシンをはじめとする野生動物には、ノミやダニなどの「外部寄生虫」が大量に寄生しています。
人間がノミやダニに刺されると、その部分は赤くなってかゆみや痛みなどの症状がみられるようになります。
ノミやダニによる「吸血痕」は一見すると蚊に刺された跡のようにみえますが、なかなか治りません。
一般的には1週間から2週間程度で吸血跡は目立たなくなりますが、なかには1ヶ月以上かかることも。
また、ノミダニの死骸やフンは「喘息やアトピーなどを悪化させる原因(アレルゲン)」にもなります。
特に小さな子供では、ノミやダニによって突然アレルギーを発症する確率が高いため、十分な注意が必要です。
なお、健康被害についてはこの後「ハクビシンによる病気と感染症」でも説明しています。
ハクビシンは「雑食性の動物」のため、大抵のものは食べることができます。
そのため、人間がペットとして飼っている
- 金魚
- 小鳥
- 昆虫
などを襲ったりすることもあるのです。
ハクビシンが獲物として狙うのは「小型の動物」が多いといわれていますが、過去にはニワトリが被害に遭ったこともあります。
また、ハクビシンの持っている雑菌や寄生虫がペットにうつり、病気にかかってしまうこともあります。
ハクビシンによる病気・感染症は5つ!
動物と人の両方に感染する病気のことを「ズーノーシス」といいます。
ズーノーシスは、
- 感染している動物に直接触れての感染
- フンや抜け毛、寄生虫などを介して感染
などがあります。
ハクビシンによって起こる病気や感染症は、大きく5つあります。
雑菌による感染症!
まずは「雑菌」による感染症についてです。
感染している動物に引っ掻かれたり、噛まれたりすることで感染します。
潜伏期間は3〜15日程度で、発症すると
- 発熱
- 頭痛
- 腹痛
- 悪寒
- 嘔吐
- 筋肉痛
など、インフルエンザによく似た症状が現れます。
レプトスピラ症が悪化すると肝臓機能に障害が出るようになり、命にも関わります。
この病気は抗生物質を投与して治療するのが一般的で、重症の場合は「ペニシリン系の強い抗生剤」を使います。
ただし、ペニシリン系の抗生剤は効果が非常に強いため、痙攣や発熱などの副作用が発生しやすくなります。
「感染動物のフンで汚染された食品」を食べることで感染します。
この病気は食中毒に分類されており、7〜9月頃の暑い時期に感染しやすい傾向があります。
サルモネラ症は感染後に症状が出るまでの時間が短く、数時間から12時間後には多くの人に症状が現れます。
サルモネラ症の主な症状は
- 悪心
- 嘔吐
- 腹痛
- 38℃前後の発熱
であり、4日〜1週間程度は症状が続きます。
サルモネラ症は「体力のない子供」や「高齢者」が感染すると重症化しやすいため、特に注意が必要です。
「感染動物のフンで汚染された食品・水」によって感染します。
E型肝炎の潜伏期間は15〜50日程度で、発症すると
- 発熱
- 悪心
- 腹痛
- 嘔吐
- 食欲不振
- 全身倦怠感
- 黄疸
などの症状がみられるようになります。
E型肝炎に感染すると肝細胞が破壊されるため、肝機能が著しく低下します。
また、E型肝炎は「妊娠後期の人」が感染すると重症化しやすく、20%の確率で命を落とすこともあります。
寄生虫による病気!
続いては「寄生虫」による病気です。
「感染した動物の糞で汚染された食品」を食べることで感染します。
感染しても多くの人が無症状のままですが、まれに急性症状が表れる人もいます。
トキソプラズマ症の症状は
- 発熱
- リンパ節の腫れ
- 倦怠感
- 目のかすみ、痛み
などであり、自然治癒を待つか、トリメトプリムという「抗菌剤」を投与します。
トキソプラズマ症は、妊婦が初感染すると
- 子供の脳や目への障害
- 流産や死産
のリスクがあります。
「感染した動物のフンで汚染された食品や水」によって感染します。
エキノコックス症は潜伏期間が非常に長く、自覚症状が表れるまでに数年から数十年かかることもあります。
エキノコックス症の症状は
- 発熱
- 咳
- 黄疸
- 胸痛
- 腹水
- 肝機能障害
などであり、外科手術によって「肝臓に寄生した寄生虫」を摘出するしか治療法はありません。
なお、エキノコックス症は放っておくと、徐々に脳や骨、心臓など様々な部位に虫が寄生するようになります。
そのため、寄生虫による感染症のなかでは非常に重篤な病気といってよいでしょう。
ハクビシンによる感染症を防ぐには?
ハクビシンからの感染症を防ぐためには、なによりもまず「ハクビシンと接触する機会」をなくすことが大切です。
屋根裏や軒下からバタバタと物音がしたり、ハクビシンらしき鳴き声が聞こえたりしたら要注意。
「家の敷地内に残ったフン」から病気に感染する可能性もあるため、早急に駆除業者へ相談するようにしましょう。
子供の砂遊びやガーデニングは、駆除業者による消毒が完了してから行うほうが安心です。
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体に異変を感じたら、すぐに医療機関を受診すること!
ハクビシンによるズーノーシスに感染しても、始めは「風邪のような軽い症状」しか現れないことがあります。
しかし、ズーノーシスは時間の経過とともに重症化するリスクが高くなり、場合によっては命に関わることもあります。
何か体に異変を感じたら、「少し様子をみよう」などと考えず、すぐに近くの病院を受診するようにしましょう。
その際、「自宅の屋根裏にハクビシンらしき動物が住み着いている」などの情報があれば、必ず医師に伝えて下さいね。
さいごに!
ハクビシンの生態や人間への実害、病気について説明しました。
ハクビシンはカワイイ顔をしていますが、多くの実害をもたらす「害獣」です。
そのため、なるべく早く駆除・対策を行いましょう!
>>ハクビシンの「鳴き声・ふん・足跡・食べ方」から分かる駆除・対策まとめ!