クマンバチの巣や毒針を解説!刺されたらどうする?駆除やオスメスの生態をわかりやすく!
こんにちは。
山奥の実家で20年、多くの虫と暮らしてきたアキラです。
ハチの中でもひときわ「大きな身体」をしているのがクマンバチです。
ただ「スズメバチ」と違い、あまり悪い噂を聞きません。
しかし、
クマンバチって毒はないの?刺されたらどうすれば良いの?
駆除できるの?
と疑問に思っている方も多いでしょう。
そこでこのページでは、クマンバチの生態や駆除についてどこよりも分かりやすく説明します。
- クマンバチってどんなハチ?
- クマンバチの飛行は、不可能を可能にしている!?
- クマンバチの交尾と巣作り!
- クマンバチの針に毒はあるのか?
- クマンバチに刺されたらどうすれば良い?
- クマンバチの駆除方法はとっても簡単!
- クマンバチに関する雑学!
(オスメスの違い、藤の花との関わりなど)
クマンバチってどんなハチ?!
クマンバチは、体長2p程度の「丸い体型をしたハチ」です。
普段良く目にするクマンバチは、本州に広く分布しているキムネクマバチです。
名前のとおり、頭部、腹部、足、羽根は真っ黒で、胸部だけに黄色い色がついています。
ずんぐりとして丸く、色も全体的に黒いため大きく見えますが、実際は他の大型ハナバチとはあまり変わりません。
クマンバチは「ミツバチ属」というミツバチの仲間ですが、同属にマルハナバチなどもおり、ずんぐりとした丸い体型を持つ似たようなハチは何種類もいます。
スズメバチのように「腰にくびれがないずんぐりした体型」が特徴です。
クマンバチの飛行能力がスゴイ?!
スズメバチを思わせるような「ブーン」と大きい羽音を立てて飛んでいることから、近くでこの音が聞こえるとどうしても驚いてしまうことがあります。
この羽音もクマンバチの大きな特徴の一つと言えるでしょう。
クマンバチは飛行が大変安定しており、ホバリングがとても得意です。
これはオスが縄張りを作り、入ってくる生き物を見極める時にホバリングする習性があるからです。
しかしそもそも、このホバリングや安定した飛行はクマンバチの飛行の謎とされてきました。
と言うのも、
クマンバチが持つずんぐりとした体のわりに羽根が小さいため「どうやって安定した飛行を行っているのか?」そのメカニズムが解明されていなかった
のです。
航空力学的に飛べることはありえないこととされ、終いには科学者が「クマンバチは飛べると信じているから飛べるのだ」とさじを投げていました。
現代では「空気の粘度」を表すレイノルズ数を計算することで “飛行の謎” が解明されましたが、クマンバチは「不可能を可能にしている」と言われたことで、スポーツクラブのキャラクターに起用されることもしばしばありました。
クマンバチの「生活」と「巣」
クマンバチの活動期間は地域にもよりますが、「春の終わり」〜「秋の終わり」頃にかけて頻繁に活動を行います。
春から夏にかけての時期に人里に出現し、よく目につくようになります。
本州に多く分布している代表的なクマンバチである「キムネクマバチ」は、多くのハナバチと同様に花から花へ飛び回り蜜を集める生活をしています。
大きな羽音や黒く大きな見た目とは違い、肉食ではなく花の蜜を吸い、花粉を食べる性質で、他のハナバチと同じ食性をしています。
クマンバチの交尾と巣作り
クマンバチはスズメバチやアシナガバチなどとは違い、群れではなく単独行動します。
春先のまだあまり人目につかない時期に、交尾を行うためにオスのクマンバチは「メスを待つための縄張り」を作ります。
この「縄張り」にメスがやってきて交尾を行うと、その後メスは枯れ木に穴を掘って「巣」を作ります。
クマンバチの巣ってどんなの?
クマンバチは枯れ木に穴を掘って「巣」を作ります。
環境によっては「古い木造家屋」の軒先の柱などにも穴を開ける事があります。
この巣は細長く奥行きのある構造で、この中に「花粉」や「花の蜜」を詰めて、小さな団子状に丸めていきます。
この「蜜の団子」は、やがて生まれる幼虫のエサとなるのです。
エサの確保ができたらメスは産卵をします。
【巣の断面】
産卵は「蜜の団子1つにつき、幼虫1匹分のエサ」になるようにするため、巣の奥から団子と産卵した卵を一緒に置いて、間仕切りを作ります。
(上の画像を参考にして下さい)
小部屋をたくさん作って「蜜の団子」と「卵」を置き、そしてフタをします。
大工のように「個室がたくさん並んだような巣」を作る習性があるため、クマンバチの英名はカーペンタービーと付けられています。
このようにして巣作りが終わると、メスは幼虫が成虫になるまで待ちます。
子育て開始!
夏には無事に羽化(うか)して「成虫」になるので、その頃にまた巣に戻り、今度は子育てを開始します。
羽化した子どものハチはまだ体が未成熟で外に出ていけないため、親バチはエサとなる花粉を運びます。
このように「自分が産んだ子どもが成虫になっても、同居して子育てする」習性があるハチは、同じ単独行動をするハナバチの中でもクマンバチだけの性質です。
クマンバチは
- ミツバチのように集団で巣を作る「真社会性のハチ」
- 完全に単独行動をするハチ
の中間のような性質が大きな特徴としてあります。
そして秋になると、前年に生まれたクマンバチは寿命となり姿を見せなくなります。
その年の夏に生まれた若い成虫は越冬をし、翌年親バチと同じように交尾を行って子育てをします。
よって寿命は1年ほどということになります。
クマンバチの針に毒はあるの?
クマンバチのメスは針を持っており、特に巣作りの季節は警戒心が強くなるため人を刺すことがあります。
巣作り中のメスはきびきびと動き回っているので、もし「木の下」や「軒先」に単独で飛んでいる場合は注意しましょう。
もし刺されてしまった場合は、毒が回らないように処置しなくてはなりません。
※対処法はこの後説明します!
クマンバチの毒は弱く、スズメバチの毒のように命に関わるほどの強烈な悪影響はないと言われています。
しかし数日間は痛みがあり患部が腫れてしまいます。
なお、毒で心配なのは急性アレルギー反応である「アナフィラキシーショック」です。
ハチの毒はどの種類でも同じタンパク毒ですので、毒の強さに関わらず、アレルギーが起きてしまう場合があります。
刺されたらどうすべき?
刺された場合は、まず患部を良く観察し針が刺さっていたら抜いて下さい。
この時、むやみに触って指で針を押し込まないように毛抜きで抜くのが理想ですが、患部が腕や足などであれば振り払い落とすようにしましょう。
針を取ったあとは流水で良く洗い流します。
これは
- 患部に付着した毒を洗い流す
- 腫れた部分を冷やして痛みを緩和させる
ことが狙いです。
血液と一緒に毒も出ていくので、洗い流しながら患部を指でつまんで絞り出すように血液を出します。
その後は、もし持っていれば抗ヒスタミン系のステロイド剤を塗っておきます。
軟膏に抗ヒスタミン成分が含まれていれば使用できます。
毒を抜きたいからといって口で吸いだすのはNGです。
他の生き物やハチの毒と同様に、毒が口腔内や体内に入って大変危険です。
本格的な治療は皮膚科を受診してからとなりますので、くれぐれも放置しないようにして下さい。
もし「山の中」や「病院がそばにないような場所」であれば、アナフィラキシーショックが起きる可能性を考えて、誰かに「ハチに刺されたこと」を伝えましょう。
アナフィラキシーショックは血圧の急激な低下で倒れたり、悪心や嘔吐したりする場合があります。
意識不明となれば一人ではどうすることもできません。
見守ってくれる人がいれば救急車を呼んでもらえますので、早めに助けを求めてください。
クマンバチは毒が弱いからといって「処置を甘くしても良い」というわけではありませんので注意しましょう。
クマンバチの駆除方法は?!
基本的には駆除は必要ない!
クマンバチは穏やかな性格であるため、そばにいるだけで人間に危害を加えるようなことは滅多にありません。
手で捕まえない限りは刺すこともなく、オスであれば捕まえても刺すことすらできませんので、恐怖を感じるような場面は少ないハチと言えます。
しかし
- 「大きな羽音に恐怖を感じる」
- 「刺すイメージが先行して、家族に危害を加えないうちに遠ざけたい」
という理由から駆除したい!という方もいるでしょう。
巣がある場合は駆除すべき!
穏やかなクマンバチにも一つだけ問題があります。
それがクマンバチの作る独特な巣です。
クマンバチは木に穴をあけて巣を作る習性があります。
人のすぐそばの環境であっても巣を作ってしまうため、時には
- 竹垣
- 置きっぱなしの竹ぼうき
- 屋根の細い支柱
- 木造物
- 庭の木の幹
などに穴をあけて巣を作ることがあります。
クマンバチは温厚であるため、駆除と言っても「殺す」ためではなく「来ないようにさせる」のが目的となりますが、巣を作ってしまっているなら刺される可能性も考慮しなくてはなりません。
また木造家屋や木造物であれば深い穴を開けられ強度が弱まりその後の寿命に影響が出ないとも限りません。
そういった意味では駆除を考えるのも一つの手です。
では、どうやって駆除するのか?
クマンバチがもし巣を作ってしまったのなら、安全に作業するために活動していない夜間に駆除を行います。
駆除は簡単、穴の中に市販の「ハチ用殺虫剤」をスプレーするだけです。
駆除はこれだけで終了です。
クマンバチが出ていき、穴の中にハチも幼虫もいないことが確認できれば、後は木工パテで埋めてしまいましょう。
これで木造物の強度を補強し、作業は完了です。
「忌避剤」を軒先やクマンバチが好みそうな木材の近くに予め撒いておくのも一つの手です。
「スズメバチに巣を作らせない」といった忌避効果が書かれていれば効果があります。
とりあえずは上で挙げたスプレーを使用しておけば問題ないでしょう。
クマンバチに関する余談!
では最後にクマンバチに関するちょっとした雑談を・・・
- クマンバチのオスメスの違い
- オスの習性!
- クマンバチと藤の花!
1.クマンバチのオスメスの違い!
クマンバチはオスメスを比較的簡単に見分ける事ができます。
花に止まっている時に顔を観察してみましょう。
複眼が鋭く楕円形で目と目の間が黒い個体がメスです。
下の画像で見ると、左がメス、右がオスです。
メスのほうが顔が大きく黒い印象が強いですね。
対してオスは複眼の形に丸みがあり、目と目の間に逆三角形をした黄色い毛の部分があります。
鼻ではありませんが、人間の鼻のように見えるのが特徴です。
クマンバチはこちらから危害を加えなければ攻撃してくることはありませんので、興味ある方は観察してみましょう。
2.オスのクマンバチの習慣!
では、オスのクマンバチ特有の習慣について紹介しましょう!
交尾を行う早春の時期は、林の中で「メスが近づいてくる」のを待つオスが低空飛行をしています。
安定した飛び方を生かしてホバリングをするのです。
これは近づいてくる生き物が、本当に自分が探すクマンバチのメスであるかどうか?を見極めようとして行っています。
オスは縄張りを作っているため、見極めるまでは相手が他の昆虫や鳥、人間であっても確認のために数メートル追いかけてくることがあります。
人間であれば羽音やその姿を恐れて逃げてしまうのですが、オスからしてみれば相手がメスかどうかの重要な確認作業であり、けして攻撃性があるわけではないのです。
クマンバチのオスは針を持たないため、他の動物や人を刺すことはありません。
これはハチの毒針は「卵管が変形したもの」であるためであり、生まれつき卵管がないオスは刺すことすら出来ないのです。
手で捕まえて触った場合は、お尻を手に何度もタッチさせて刺すようなしぐさだけを行います。
オスの場合は刺さないと分かっているため捕まえて観察できますが、抵抗のために咬むこともあるので注意しなくてはなりません。
メスは針がありますので、危害を加えれば刺す可能性があります。
もともと人間に関心がないクマンバチではありますが、それでも抵抗する際には刺すことを覚えておかないといけません。
3.「藤の花」はクマンバチを特別扱いする!
クマンバチが私たちの目につくようになるのは初夏の頃ですが、この頃は全国的に「藤の花」が咲く時期となります。
そして藤棚にたくさんのクマンバチが飛んでいるのをどこでも目にすることができるでしょう。
藤は「マメ科」の植物ですが、ニセアカシアなど「他のマメ科の植物」にもクマンバチは足しげく通います。
マメ科はどれも良い香りのする花ばかりで、クマンバチは特に好んで訪花します。
一方で藤の花もクマンバチを特別扱いしています。
藤はクマンバチが来た時にだけ花弁を開いて花粉や蜜を多く出す性質があります。
これは花弁が他の花よりも固く、「クマンバチの力でないと開けられないからである」とも言われています。
こうすることで「クマンバチの足や腹部」に花粉が多く付着し、受粉を助けてもらうのです。
どちらが先に相手を選んだのかは分かりませんが、藤はクマンバチに花粉媒介を依頼し、報酬として蜜を与えています。
多くの昆虫がそうであるように、クマンバチと藤も自然界のパートナーとして成り立っているのです。
さいごに!
クマンバチについて分かりやすくまとめてみました!
あまり攻撃性のないハチではありますが、巣作りしているメスだけは刺してくる可能性もありますので、近所に巣を作っている場合は早めに駆除しておきましょう!